ごきげんよう。きいです。
今回もまりぃさんの面会での一コマです。
Sさんと共に面会ブースに降りて来るまりぃさんは、相変わらず杖をついて歩きます。
88歳になって、両側の変形性膝関節症もあるのに大したものです。
そうなんです。米寿だったんです。
今回私は、敬老の日に市から送られて来た「米寿の祝い品」を持参していました。
中身は確認せず、まりぃさんと一緒に開封しようと思っていました。
Sさんと「さあ、まりぃさん。お祝いですって。嬉しいですね。なんでしょうね~。」と盛り上げながら、いざ開封!
すると、中から出てきたのは、市長さんのお祝いメッセージと、ある食品。
まりぃさんの摂食嚥下機能にはちょっと適さないものが入っていました。
まりぃさんはそれを見て「なんや分からん」。
私は「そっか~食べられないか~。残念!」
Sさんは「…本当に?」
何が「…本当に?」なのかと思いました。
何年もこの特養Nへ務めて来たSさんは、ずっとこの「米寿の祝い品」を見て来たのだそう。
そして「今年が一番…残念…」ということだったようです。
これは市が財政難なんだろうな。頂けるだけありがたいな、と思いました。
私はかつて、障がい児が入所する施設で勤務をしていた頃がありました。
当時も財政難だと言われてはいましたが、入所している子供達には県からクリスマスプレゼントが全員に配られました。
サンタさんのブーツに詰められたお菓子とかではなくて、トイ〇らスの「クリスマスプレゼント」の広告から、決められた予算内の商品を一人一品(商品券以外)を選ぶことができました。
長く務めている先輩は言いました。
「帰る家があって家族がいる子は、それぞれの家族がプレゼントを買ってあげれば良いんじゃない?」
みんなもそう思っていました。
ご家族は「ええ~スゴイ!ありがとうございます!」と、週末のお迎えの時に我が子に振舞われるプレゼントを選んでいました。
家族がいない子のプレゼントは、担当の看護師が発達段階を考慮してプレゼントを選びました。
「プレゼントをもらえる子と、もらえない子がいてはいけないのだ」と聞きました。
家に帰ったら家族で用意したプレゼントや、おじいちゃん・お婆ちゃんからのプレゼントも、クリスマスケーキもある子たちだっているのに。
県からのプレゼントをもらえない子の前で、(家族がいない子に)プレゼントを渡すようなことは誰もしないのに。
そう思ったことを思い出しました。
あのクリスマスプレゼントは、今も続いているのでしょうか。
まりぃさんの米寿のお祝い。
私は無理に頂かなくても良いとも一瞬思いましたが。
私宛ではなく「まりぃさん宛のもの」だし。
88歳を祝うお祝いの気持ちだし。
「まりぃさんが喜ぶといいな」と思って、開封せずに持って行ったのは私です。
ただ、まりぃさんが「自分の長寿の祝いに頂いた食べ物である」ということが理解できず、食べる機能も落ちていたこと。
それが残念。