ごきげんよう!きいです。
ある土曜日の明け方。ある利用者様の呼吸停止の連絡を受けて家を出た私。ご自宅へ到着しましたが、死亡診断をする先生の到着が遅れています。
大切なご家族を亡くされたばかりの方々の中に、私一人がポツン…。
この大切な看取りの場面を台無しにしないために、私に何がきるのでしょうか?
そして私は、まりぃさんのデイサービスのお迎え時間に間に合わなくなるわけですが、どうしたのでしょうか?
〝今できることは何か〟を考える
死亡診断をする先生の到着が遅れています。
大切なご家族を亡くされたばかりの方々の中で、私は必死に〝このタイミングにできることは何か〟を考えます。
これからご家族がするべきことの説明と確認(死亡診断の後エンゼルケアをどうするか?葬儀社は決まっているか?等)をし、お元気だったころのお話を伺いながら、お身体をきれいにした後に何か着せてあげたい服装はあるか?などを伺いました。
そしてエンゼルケアは、詰め物はせずお身体をきれいにするにとどめて、その後は葬儀社へお願いすること。着替える服装は、地域のパトロールに行くときに良く着ていたお気に入りのジャージの上下に決まりました。
そのお話も答えをせかすわけにはいきません。ご家族の思いに寄り添いながらの会話が続きました。
それでも先生はまだ到着しません。
「じゃあ、ひげでも剃りながら先生を待ちましょうか。」と、髭剃りを出してきてくださったのは息子様。自ら髭を剃って下さることになりました。
「親父のひげを剃る日が来るとは思わなかった。」と電気シェーバーできれいに剃って下さいました。
その直後に、玄関のチャイムが鳴りました。先生が到着したのです。
「遅くなってすみません。道路が雪で通行止めになっていて、時間がかかってしまいました。」と。
ご家族は納得。早朝に駆け付けたことに対して感謝されていました。
死亡確認、死亡診断書の記載も滞りなく行われました。
ご家族とのケアが続き…
その後お身体をきれいに清拭し、お通じが残っていないか確認して降りてきているものだけきれいにして、弱くなっている皮膚を保護して…。そして、お気に入りのジャージに着替えて頂きました。
清拭とお着替えは、奥様と一緒に行いました。
葬儀社はご兄弟がお世話になったところにお願いをしようと決めていたとのこと。連絡はご家族にお任せすることになりました。
数か月のお付き合いではありましたが、この方と過ごした時間を振り返り、「皆さんによろしくお伝えください。」と送り出して頂いた後、車に戻って時間を確認すると…。
時間はもうすぐ7時30分になろうとしています。
これはヤバイ…。今から家に戻るのに約20分。いやいや、雪道だからプラス10分はかかるか?
この時間、目を覚ましているであろうまりぃさんは、着替えくらいはできているだろうか?尿とりパッドは正しく当てられているだろうか?何か食べるものはないかと冷蔵庫を開けて覗いているのだろうか?
ヤバイ。ヤバイ。ヤバイ…。
まりぃさんのお迎えに間に合わない!!~後編~へ