実はこの頃、私はまりぃさんに施設に入ってもらうことも考えました。
でもそうしなかったのは…お金が無かったから。
もし施設に入ってもらうとして、施設によっては、安く…安く見積もって月に15~20万円。グループホームや介護付き有料老人ホームを考えるとそれ以上の出費を考えないといけません。
もっと安い施設はないのか?
特別養護老人ホーム等の施設は、まりぃさんのように介護度が低い人には考えにくい選択でした。
この時点では介護申請もしていない状況でしたが、まりぃさんは介護認定を受けたら〝要介護1〟という判定が出るか出ないか?と思われる状況。下手をしたら〝要支援〟かもしれない、とも思われました。歩けるし、失敗だらけでもある程度の身の回りの事は自分でできたからです。
その上、現在父も施設へ入所中。今まりぃさんが住んでいる自宅は賃貸の一戸建て。山のような家具や荷物をどうする?処分するにしたってお金がかかる。すべて片付けて家を空けるまでは、家賃も払わないと。
まりぃさんの施設のお金、父のお金、家賃と実家の片づけのお金…。眩暈がしました。
ああ、お金が無い。
両親のお金は年金しかありません。元々裕福な家庭ではないので貯金だって僅かです。
私も働いているとはいえ、子供が大学生と中学3年生でした。受験もあります。学費と住宅ローンというお金がかかっていました。夫の母と同居している手前、まりぃさんを自宅へ呼ぶこともできません。
「まりぃさんと同居するので、義母さん、家を出て下さい」なんて、口が裂けても言えません。
えい君も独身で社宅暮らし。遠方への出張も多く、仕事からの帰りも遅い。
まりぃさんとの同居は困難でした。
ああ、くらくらが止まりません。
私はこの時、両親に「なんでもっと自分たちの老後の事を考えて、貯えを作っておいてくれなかったのよ!」と心の底から思いました。
まりぃさんだって、働き者のはずだったのに。しっかり者だったはずなのに。
えい君に対しても、「お兄ちゃんでしょ?しっかりしてよ!」と苦々しく思っていました。まるで八つ当たりですよね。
また、私自身「どうしてもっと早くからお金の相談をしてこなかったのだろう」ということを激しく後悔しました。いくら聞きにくい話だったからって、こうなってしまっては…。
心はやさぐれていく一方で…。
そして、両親の介護にどれだけお金がかかるのかを真剣に計算する前に、私は既に「施設入所は無理!」という答えを出していました。
老後資金って大事!
本当に親それぞれの介護にお金がかかる…。元気ならまだしも、要介護状態だったり、病気で入退院を繰り返していたら…。その金額は馬鹿にできないし、甘く見てはいけない。
だから、ここで声を大にして言いたい!
お金って、大事―!!
若いうちから老後資金を蓄えておかなきゃー!!
それをしていなかった準備不足のうちの両親。
とにかくなんとかしなくちゃ…。そればかり考えていました。