ある人が亡くなった。
その人の祖父母・両親は既に亡くなっていて、配偶者を持たず、子供もいない「おひとりさま」だったら。
他に遺産を受け継ぐ相続人がいなかったら。
いわゆる「相続人不存在」のとき…。その遺産は最終的に国のものになるのです。
相続人不在が増えている
相続人不存在とは、亡くなった人(被相続人)の財産を相続する人がいない状態をいいます。具体的には、法定相続人という民法で決められた相続人がいない状態、もしくは法定相続人がいても何らかの理由で彼らが相続をしない、できない状態のことを指します。
「相続人不存在」は、次のような場合をいいます。
・相続人の資格を持つ親族がいない
・相続人の全てが「相続放棄」をした
・相続人の全てが権利を失った
・相続人が行方不明の場合
今、そのようなケースが増えているのですね。
「最高裁判所によると、2021年の1年間で政府の国庫に帰属された遺産は647億円にのぼり、過去最高額となった」という報道がありました。
2021年度は647億459万円。
2001年度は約107億円、2011年度は約332億円で、この20年で6倍に増えたことになるのだそうです。
相続人の全てが、相続放棄する・権利を失う・行方不明になる。
そんなことは、そうそうないんじゃないかしら。
では、なぜ相続人不存在が増えているのか?
国庫に帰属される遺産が過去最高額になるのか?
「おひとりさま」がそれだけ増えている…そういうこと?
遺産を誰かに遺すためには
まず最初に遺産を引き継ぐ可能性があるのは、亡くなった人が生前に遺言書を作成していた場合には、その遺言書で指定された人や団体になります。
遺言書がない場合は、被相続人と特別の縁故がある「特別縁故者」が財産分与の申立てをすることができます。
「特別縁故者」とは内縁の妻・夫や、親身になって介護に携わっていた人などのことを指しますが、縁故関係の証明となる資料などを家庭裁判所へ提出する必要があります。
もし、遺言書も無く、特別縁故者の申し出も無かった場合。
利害関係者の申し立てにより、家庭裁判所に選任された「相続財産管理人」が整理することになります。そして未払いの税金や公共料金などを清算し、相続人が本当にいないかを確認。最後は国庫に入ることになります。
「法定相続人がいないことが事前に分かっている場合には、お世話になった人や興味関心のある団体に財産を渡す遺言書を作るなど、早めの準備が必要です。」
そうは言われても。
自分が亡くなると全く予感していないときに、遺言書って作らないと思う。
だけど健康に不安を感じたら。
病気が見つかったら。
自分の今後について、何かを思う時。
遺言書を残しておかないといけない人がいるということなんですね。
自分の遺産が国のものになる事を望む方。
望まない方。
いろいろな考えがあって良いとは思うけれど…。
647億459万円。
皆さんはどう考えますか?