ごきげんよう。きいです。
ここのところ、何件か続いてしまった「嫌なケース」をお伝えします。
それは…。
「施設入所に時間がかかり、結局入所直前にお亡くなりになってしまうケース」です。
最初はN様。食事や入浴・排泄以外は殆どベッド上の生活が続いていました。ご自宅での生活が「気ままでいられるから良い」と、デイサービスもショートステイも利用せず生活をされていた方です。
ご家族は「それでいい」と仰り、奥様にいたっては「少しは動かないと、デイサービスみたいなところに行く羽目になるわよ」というような、「?」な励まし方をされる方でした。
しかし「奥様の体調不良」のために、介護がままならなくなってしまい、N様は体調を崩してしまいました。
お子様は「デイサービスに行くしか方法はないのか」「ショートステイで体調を整えるのならどうだろうか」「施設入所はきっと受け入れないだろう」と迷いに迷い、時間ばかりが経過していきました。
その間にN様の体調は階段を下るように低下していきます。
訪問診療医と訪問看護、ケアマネはヤキモキしながらN様の体調を整えつつご家族の支援を続けて。
やっと施設入所が決定し、訪問のサービスは終了。
しかし、数日後に入所を迎えるというタイミングで。
N様は急変してしまいました。
もうお一人はE様。
癌の末期で入院をしても「認知症の夫が心配だから」と帰ってきていた方です。
老夫婦だけの生活。夫は認知症。
「治療が済んだらナーシングホームへ入所」と、入所先も決まっていたのに。
ナーシングホームへ行かずに自宅へ帰ってしまっていたので。
「自分が夫の面倒を見ることはもうできない。認知症の夫には自分の介護はできない」と受け入れ、
手続きが済み、ようやく迎えた入所日の前日に病状悪化。
ナーシングホームへ入所はできず、病院でお看取りとなりました。
迷う気持ち…わかります。
大切にしたい事がある…それもわかります。
だけど、身体が持たなかった。
そんなこと…実はあるんです。
「やっぱり行きたくなかったんだね」などと言われることがあります。
だけど。
「施設入所」を整えるまでに、医療者・ケアマネジャー・ソーシャルワーカー・施設の相談員等々がどれだけ水面下で動いていたか。
どれだけの時間と労力をつぎ込んだのか。
ご本人、ご遺族様も悲しいと思いますが。
私たちも悲しいです。
「迷う・迷わない」もありますが。
「迷っている時間はあるのか?」
「白紙に戻す猶予はあるのか?」
神様だけが知っているのかもしれませんが。
「もしかしたら、迷っている時間は無いかもしれない」
これも現実です。
