ごきげんよう!きいです。
「きいさん。まりぃさんを介護されていて、『こんなサービスがあれば良いな』と思う事って、何かありますか?」
そう聞いてくれたのは、まりぃさんのケアマネジャーであるのんさん。まりぃさんの介護が始まり、のんさんがヒアリングに来てくれるようになって間もなくのことでした。
その時に私が答えたこと。私以外にもきっと沢山の方が望んでいるであろうこと。
だけどその支援は介護保険ではなされないこと。介護保険じゃなくてもちょっと難しいかな…?
さて、それはどんな支援・サービスなのでしょう?
夜のまりぃさんへの支援
皆さんご存じの通り、私は訪問看護の仕事をしています。常勤で勤務し、夜間の緊急訪問もしています。自分が緊急待機の当番日ではなくても、発生した緊急事態のタイミングや内容によっては助っ人として駆け付け、サポートすることもあります。
訪問看護ステーションの数は高齢者の増加割合に比べるとまだ少なく、そこで勤務する看護師の数も少ないのが現状です。
病院で勤務する看護師が少ないことをご存知の方は多いでしょう。訪問看護師はそれを上回る少なさだと思っていただけるとありがたいです。
これからは病院も病床数が減少し、入院患者の受け入れが難しくなり、在宅療養者がどんどん増えていく未来が予測されています。訪問看護師をもっと増やしていかないと近い将来の日本は大変なことに…。
ちょっと脱線してしまいましたが、看護師はまだまだ不足していて、それなのにこれから高齢者と認知症の人の数が増えて。親の介護を担う看護師も増えて来て…。
私のような生活を送る仲間たちの数が、今後増えていくと思うのです。
そして介護離職を考える看護師が増えていくと思います。
冒頭の、のんさんとヒアリングの際に話したこと。
「きいさん。まりぃさんを介護されていて、『こんなサービスがあれば良いな』と思う事って、何かありますか?」という質問に対する答え。
「私が緊急待機の日、特に夜間呼び出されるときに、私の代わりにまりぃさんを見守ってくれるサービスがあるといいな。」
これが…。ないのですよ。介護保険を利用したサービスには。
だって、それは私の都合。本人ではなく私の都合なのです。
のんさん、この時の表情はとても申し訳なさそうで…。それが印象的でした。
なんだか、わがまま言っちゃったかな?という気持ち。
「あ、もちろんまりぃさんのために、のんさんにコーディネートして欲しいっていう訳じゃなくてね💦将来的にそんなサービスができると良いなっていう、そういうことで…💦」
と、言い訳をして。
本当にこんなサービスがあったら、夢のようです。
だけど現実は、もし夜間まりぃさんを誰かに見守ってもらうなら、緊急待機の日をあらかじめ決めておいて、その日はレスパイト目的ということで、ショートステイを利用するしかありません。
泊まりに行ってもらうのです。
あらかじめ日程を決めておくことが必要なので、急な助っ人はダメだなぁ。
それに、ただでさえ自分の家が分からなくなっているのに、娘の仕事の都合で何日間かお泊りに行くという環境の変化が、まりぃさんを混乱させるのではないか?
それが心配。
できたら、まりぃさんは移動せず、見守る人が来てくれたらいいのに。
もしそれをするなら、自費のヘルパーさんを〝あらかじめ〟お願いしたらどうだろう…。
だけど、待機とはいえ、必ず呼ばれるとは限らない。呼ばれなければ、私は家にいられる訳で。
家族が普通に生活しているのに、そこに自費のヘルパーさんが加わっているのもおかしな話です…。
介護者への支援をどうするか
結局100点満点のサービスなんてないし、あっても受けられないこちらの都合もあるのですね。
夜間緊急で呼ばれたらこっそりと家を抜け出し、対応が済んだらまりぃさんが無事に眠っていることを願いながら、こっそりと家に入る。
だからまりぃさんが深く眠っている真夜中に、緊急の呼び出しがかかると、私にとっては都合が良いのです。
本当に綱渡りみたいな毎日。
心がやさぐれてしまったときには「私が仕事を辞めれば、こんなことには…。」「私が定年退職してから認知症になってくれれば良かったのに…。」なんて考えてしまう。
緊急待機の当番をしない、という選択肢は難しい。お給料の問題だけではなく、抱えている責任の問題。
皆さんに読んでいただきたいものがあります。
「専門職のための認知症の本人と家族が共に生きることを支える手引き」
平成29年度厚生労働省老人保健健康増進等事業
認知症の家族等介護者支援に関する調査研究事業
家族支援ガイドライン作成委員会
認知症介護研究・研修仙台センター
5年前のものですがタイトルの通り、専門職に受けて認知症の人と家族を支えるための基本姿勢や、家族介護者をアセスメントすることの必要性、家族介護者の心と体と経済面の負担軽減について等がまとめられています。
もし、この介護者のアセスメントにおいて、介護の負担を点数で表すようなものができたとしたら…。
私、かなり高い点数をたたき出す自信があります。でも、みんなそうですよね。
いつかその点数が高い人が優先的に利用できるサービスみたいなものが、できればいいのになと思いました。
…実は私…。過去に一度だけ、まりぃさんがデイサービスに向かう時間に、私が緊急出動から帰って来られなかったことがあります。だけどその話を続けると長くなるので、また次回に。
<まりぃさんの迎えの時間に間に合わない!!>へつづく…。