グルメな兄

介護の現実

 ごきげんよう!きいです。

 兄の元へは、研修や長めの残業がなければほぼ毎日仕事帰りに立ち寄って、様子を見たり差し入れをしたり。また、週末にはお得なセールをやっているスーパーへ出かける日々が続いています。そんな中で気が付いた事。それは兄が〝グルメ〟である事と、〝やたら甘い物ばかりを摂る事〟。今回はそれについて考えてみたいと思います。

実は量も大事!

 兄は就職してから、私がビックリするくらい恰幅が良くなりました。

バリバリ働いていた時には、営業職でもあったので〝飲めや歌えや〟の日々もあったそうです。スポーツもしていたので「練習の後のビールが美味いんだ!」と良く話していました。

 兄の部屋にある古い洋服は、「4L」だの「5L」だのというタグが付いています。

「良いのがあったら持って行きなよ」と言ってくれるのですが…。正直誰も着れません。

今の兄にその面影はなく、「私が子供の頃に一緒にいた兄」のようにスリムになってしまいました。

 兄は体調により、食べられる量が増えたり減ったりするのですが(当然なのですが)、ここしばらくは「今まで食べていた量の半分くらい」「女性が軽く食べる量」が続いています。

 ありがたい事に、病状や薬の副反応による嘔気やムカツキはありません。嚥下障害も無く、むせもありません。

ただ「入らない」だけなんです。

腫瘍が育ち、大きく肥大した臓器が圧迫しているのだろうと思っています。

 だから今は何を食べても良いと、支援して下さるみんなが思っています。先生も「欲しい物なら、なんでもいいよ」といって下さっています。私も少ない量でカロリーがしっかり摂れるものを用意します。

私が作るものでは、グラタンやシチューなどのクリーミーなものが、消費が早いように思います。カレーも「少しだけ作るのもなんだし、たくさん作ると持て余すし」というグループに所属しているようで、案外受けが良いです。

「味はお口に合うかしら?」と聞くと、「まあまあ、食べれるよ」と。

どんだけグルメやねん⁉

 兄のようなおひとりさまの場合、「持て余す量は困る。だけど、レトルトやスーパーの小さいパックは味気ない」ということのようです。

訪問看護に入ってくれている仲間からも「訪問の度に、必ず美味しいラーメン屋さんの話になります」とか「大阪にある美味しいラーメン屋さんを紹介して頂きました!」という報告が上がってきます。

私…どう頑張っても、プロのラーメン屋さんのようにはいきません。

近場で行ってみたいと思っていたラーメン屋さんへ行ってみよう!という話もしたのですが、兄的には「どんぶり一杯も食べられない」と。

「少なくしてもらえば?」と聞いても、それはプライドが許せないようで…。

だから、ラーメン屋さんはもうちょっと先送りです。

丸亀製麺にも行きたいという野望があります。お持ち帰りは大変喜ばれました。

甘い物ばかり

 兄に「買ってきて欲しいものは?」と聞くと「あめちゃん買ってきて」と良く言われます。

ミルク味・ミルキーのあまおう風味・カンロ飴・ミルクのカンロ飴・パイン飴・いちごみるく等を切らさないように届けます。

 飲み物もウェルチの白ブドウを自らネットで箱買い。カフェオレも同じく箱買い。いつもベッドサイドに置いて飲んでいます。

「よく甘い物ばかり、そんなに飲めるなあ」と思っていたのです。そして「先生もなんでもいいって言っているから。まあ、飲めないよりは良いか…」とも思っていました。

 だけど、ある日あるところで「認知症のように脳の機能の低下がみられる人は、味覚障害のため甘い物を摂りたがる」ということを知りまして。

 ああ、味覚障害かぁ。

…そう思ったんです。

兄の場合、脳の機能の低下は無い筈でした。

以前、あまりに兄がボーっとしていた時に「脳への転移の可能性はありますか?」と、こっそり先生に聴いてみたことがありました。

「脳の前に肺に飛ぶから、今の感じだとそれは無いと思うよ」とこっそり教えて下さいました。

脳に問題がないなら、過去に使っていた抗がん剤の影響かもしれません。

手足の指先がしびれるという自覚症状があり、それを兄が先生に相談した時に「抗がん剤が身体から抜けるのには、数か月時間がかかるんです」と説明されていました。

 味覚障害…。

本人にしか分からない感覚。うーん。悩ましい問題です。

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