母の教え

在宅介護

 ごきげんよう!きいです。

 ここの所、災害時の避難について書かせて頂いています。そこで今回は災害にまつわる「母の教え」についてです。母とは、まりぃさんのこと?いいえ、私の事です。

私が子供達に言い聞かせたこと。それは「大きな災害が起きたとき、もし家から離れたところにいたとしたら、決してまりぃさんのために無理をして帰ろうとしてはいけない」ということ。その真意についてお伝えします。

自分の身を守るのが最優先

 もし大災害、特に大きな地震が発生した時。自宅に家族が全員集まっているという可能性は、我が家の場合、とても低いように思います。

 夜間ならまだしも、昼間なら私は仕事のため、車に乗ってステーションから半径10㎞圏内をぐるぐると移動しています。息子は電車を使って仕事へ。娘も電車で学校へ。まりぃさんは、週の約半分はデイサービス。全員がバラバラです。

もし、地震のために電車が完全に止まってしまったら。子供たちは帰宅難民となってしまいます。

 私も車が走れない状況になってしまったら同じこと。車に留まるか、歩いて家を目指すことになる可能性があります。もしステーションに戻ることができた場合でも、先ずはスタッフの安否確認や利用者様の安否確認を行うことになり、すぐに帰宅することはできません。

〝まりぃさんが家に一人ぼっちの状態で被災し、家族は誰も帰れない〟ということがあり得るのです。

うわあ。これ、恐ろしいことです。

子供達は、私が夜間でも緊急の電話連絡が入れば出かけて行く姿を見ながら育ちました。

もし大きな地震が発生したら、母は家に帰れないだろうと思っていました。

だから、まりぃさんを何とかしなくてはいけないと考えていました。

それを聞いて、私は子供達に言いました。

「本当に大変な状況になって、帰宅難民になってしまったら、無理に帰ってこようとせず、最寄りの避難所へ行きなさい。その時に自分の身の安全を守るために一番良いと思う行動をとりなさい」

コレ、絶対大事だと思います。

まりぃさんのために、自分を危険に晒してはいけない。

じゃあ、まりぃさんはどうなるの?

 もしまりぃさんが、デイサービスがお休みの日に一人で被災した場合、どうなるか…。

我が家には倒れ掛かってくるような家具は置いていないので、下敷きになることはありません。

転んでしまったとしても、骨折等のケガをしていなければ歩けると思います。

周囲が気になって、部屋を出て周りを見渡して…。人の動きを観察して。

まりぃさんは認知症だけど、何もわからない赤ちゃんじゃないもの。自分でどうするべきか考えて行動するでしょう。ちょっとおかしなことになるかも知れないけれど…。

早速自分も外へ逃げた方が良いかなと思ってエレベーターに乗ろうとしたら…。

エレベーターは停まっている!

まりぃさんは数段なら階段を降りることができますが、1階まで階段を降りることはしないと思います。

まりぃさんはマンションから移動できなくなるものと思われます。

避難のつもりが、そのまま迷子に…。というのが私が心配するところなので、エレベーターが停まってくれると私としてはありがたい。

そしてどれ位時間がかかるかは分かりませんが、安否確認に民生委員さんや、ケアマネジャーののんさんが来てくれることになる可能性が高いです。

東日本大震災の時、私は一人暮らしの高齢女性のお宅を訪問中でした。

大きく家が揺れ、私はベッドサイドに座っている女性が転落しないように支えるのに必死でした。

地震が収まると周囲がざわつき始め、近所の方が家から顔を出してきました。

地震後10分もしたかしないか?というタイミングで、私は安否確認に回ってきた民生委員さんにその女性にお怪我は無かったこと、水道は使えること、ガスの安全装置は解除したことをお伝えし、その方のことをお願いしてお宅を後にすることができました。

 民生委員さんが来てくれた速さには驚きました。

私はその方の後に、もう一軒、一人暮らしの高齢女性のお宅の訪問がありました。

道路を走る障害はなく、まだ帰宅時間でもなかったため、大きな余震を感じる度に路肩に停まりながらでも、数十分で移動することができました。

次に伺った女性に、お怪我はないか伺うと、「地震に驚いてバランスを崩してしりもちをついてしまったけれど、のんさんが来て起こしてくれた」とのこと。

この女性の担当ケアマネはのんさんだったのです。

ああ、いろいろ思い出しちゃった…。

でも、そうやってみんなが安否確認をして、助け合う。まさに共助ですね。

まりぃさんも一人じゃない。だけどドアを開けてくれるかな?自分に向けられた救助の手をキャッチすることができるかな?…それが問題だ。

今、秘密の場所に家の鍵を隠してあります。電話が通じれば、その鍵の場所と開け方をお伝えしてまりぃさんをお願いすることもできます。

とにかく、まりぃさんがまずいことにならないようにと考えてはいます。

だから子供達は自分の身を守ることを最優先にして欲しい。

もし、不運な何かがあって、まりぃさんになにかあったら…。

それは運命。

まりぃさんもベストを尽くした結果に待っている運命だから。

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