2人の医師

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 ごきげんよう。きいです。

 弁護士のF先生は、「当時に診ていた医師に問い合わせをします。」と仰った。

そんなことが本当に可能なのか?
「やります」といって下さったけれど。

 〝知り得る限りの情報〟をF先生に言われた通り、私達は父が入所する老健へ通って、父が手術を受けた当時の話を聞き出しました。

 まりぃさんにも同行してもらい、「あの時、こうだったっけ?」「こうだったはずだよね」と二人で話すことにより、思い出される何かが無いかとも試みました。

 そしてその内容をびっしりと書き込んだ用紙をF先生へ提出しました。

 いつ、どのような症状があって受診し、診察の結果医師にどのように説明を受け、手術に至り、術後の説明で何を聞き、どのように経過したか。

 それを見た医師が、何かを思い出してくれれば。
 そのヒントになる言葉があれば。

2人の医師

 F先生が調査の依頼を試みたのは二人の医師。

 一人はS先生。

 T大学附属病院のカルテの中にあった「診療情報提供書の写し」のあて名がS先生でした。
 父が腹痛を訴え受診した際に、診察の結果T大学附属病院へ救急搬送を指示した医師です。父が胃潰瘍のために胃の全摘を受けた頃。
S先生は、その病院に勤務していたことを父は記憶していました。院長として。

 父は言いました。
「当時も年配だったから。もしかしたらもう亡くなっているかもしれないな。」

 もう一人はC先生。

 兄が発見した、昭和58年に腹壁ヘルニアで手術をした時の「診断書兼入院証明書」。
その「診断書兼入院証明書」を記載したのがC先生でした。

 父は言いました。
「C先生は40代位だったかも知れないな。今も医者を続けているだろうけれど…」

 本当に見つかるのか?
 父の手術の事を憶えていたり、血液製剤を使用したことが書かれた何かが手元に残っているのか?


 その可能性は低いだろうな

私は一人、そう思っていました。

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