ごきげんよう。きいです。
ある日、事務所でスタッフの話を聞いていました。
その内容は「利用者様が何度も電話をかけてくるのだが、出ると切る。ようやく話ができたと思ったら『足が痛いから電話をした』と話される。訪問してみると足の痛みは普段からあり、特別困っている様子ではなかった」ということでした。
電話をかけてきたのは日中独居で認知症の女性、Cさん。膝に持病があります。
スタッフは、生活に困窮しエアコンのないアパートに暮らすCさんが心配で、緊急事態や本当に困ったときに支援ができるようにと、あるアクションを起こしました。
家の目につくところに「痛かったり、動けなくて困ったら電話をください」と書いて、訪問看護ステーションの電話番号を書き添えて貼ってきたのです。
そうですね。
Cさんが、そのメモに気付く度に電話をかけてきても不思議ではないでしょうね。
その瞬間に、膝に痛みがあれば電話をかけてくるでしょうね。
だってそこには「痛ければ電話を」と書いてあるんですもの。
それ、「認知症介護」では、アルアルです。
私はそのスタッフにアドバイスをしました。
「認知症で失認や記憶障害がある方は、そのメモに込められた真意をくみ取ることができない。数分前の出来事も忘れてしまう。『こうしなさい』と書かれていれば、そのように行動してしまうことが多い」と。
そして、私がまりぃさんの介護で失敗した「『お薬を飲みましょう』のアクションが重複服薬を招いてしまった話」をお披露目しました。
スタッフは「認知症の方のイメージができました!」と笑顔でしたが…。
その対策はどうしましょう…。
電話をくださいという文字を見れば、まじめに電話をくださるCさん。
本当に助けが必要な時に、電話が欲しい私たち。
どうやってCさんの見守りを強化するか。
介護度の問題。
デイサービス利用頻度の問題。
訪問ヘルパーの利用について。
難しい問題です。

そして「先輩の経験を聞いて初めて認知症のイメージができた後輩」。
認知症介護の実体験がないことは、幸せなことです。