「致しません!」

介護の現実

 ごきげんよう!きいです。

 最近訪問看護が開始となった、利用者のAさん。

 認知症があって、金銭管理が困難です。

 娘様が、ご本人に変わって管理をしています。

 Aさんは、契約の際から「あなた達は、市役所の人でしょう?だったらお金はかからないわよね。お金がかかるのは困るのよ」と、訪問看護がどうこうという以前に「お金がかかることは致しません!」という姿勢です。

 その後から「お金がかかることは困るのよ。大丈夫なんでしょうね?」と、訪問看護ステーションへ電話が入るようになりました。

 すっかり私たちを〝市役所の職員〟と思っているようです。

 …でも、「それでいい!」とすることになりました。

 担当の看護師が「訪問看護に、お金がかかると察してしまうと、訪問を拒否するかもしれない。それよりは〝無料で来てくれる人たち〟と思ったままの方が良いのではないか」と考えたのです。
後に、娘様とも相談し、同意を得ることができました。

 このAさん。
認知症ではあるけれど、電話をかけることはできるのです。

 〝お金がかかるから辞めたい〟という電話がAさんからかかってきたらどうするか…それを検討しました。

 その結果「いいえ、お金はかかりませんよ。安心して下さいね」と返事をすることで、全スタッフが言動統一することになりました。


 お金に対する不安って、かなり強いストレスになります。

 認知症の方が、訪問看護を受ける事により、ストレスにさらされないように…。

 そんな配慮でございます。


 訪問看護は地域医療の一環であり、サービスを受ける事は医療施設を受診するのと同じことです。
自分が医療施設へ足を運ぶのではなく、医療者が自宅へ訪問するのです。

 本来なら「訪問看護=市役所の無料サービス」という事はあり得ないと、誰でもが分かる事だと思います。

 そこを「無料なんですね。ああ、良かった~」と思って下さる認知症の方。

 利用料のお支払いは、娘様に請求書を郵送し、後に娘様が振り込んで下さることになっています。

 これも水面下の介護ですね。

 安心してサービスを利用して頂くための娘様の思いやりに、Aさんが気が付く日は…来ないでしょうね。

 残念…。

 でも、私達はAさんと娘様を応援致します!

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