兄の部屋を片付けながら

介護の現実

 ごきげんよう。きいです。

 老健Aでガラス越しの面会をした後、私に一礼をして去っていったまりぃさん。

 その姿が忘れられません。

 兄に置いてきぼりにされた気分が癒えない状況で、今度は母から忘れられてしまった私。

 なんてこったい…。

私は幸せなんです

 本当なら落ち込んでも良いのかもしれませんが、私には今自分の家族がいて、子供もいて、やるべきことが一杯で。

 誰が何と言おうと、私は幸せなんです。

 そう思うようにしています。

 落ち込んでいる暇もないんです。

 兄の部屋を片付けるのも大変なこと。疲れもします。

 夜だって、ベッドにもぐりこんだら5分も持たずに爆睡して、朝まで目が覚めません。

 食事だってしっかり頂いています。

 兄の部屋の冷蔵庫の中に入っていた、冷凍たこ焼きをお昼ご飯に頂きました。

 冷凍庫の中のアイスクリームだって、美味しく頂きました。

 兄が亡くなった翌日、Gさんと葬儀の打ち合わせをしました。

 その時間は1時間程度だったと思います。

Gさんがお帰りになった後、考えたり連絡したり書類に記入したり…。そんな時間も必要なんです。

 それ以外の時間、私は日中の殆どの時間を兄の部屋で過ごしました。

感傷に浸るためではなく、片づけをするためです。

兄の部屋で

 最初に確認したのは、兄のオーバーテーブルの上に乗っていた郵便物です。

何かお金を支払わないといけないものが無いか?

手続き途中の何かが残っていないか?

そこに注目をしながら目を通しました。

 その次は、台所の片付けに取り掛かりました。

食品は傷んでしまうので、早々に片付けてしまいたかったのです。

まずは冷蔵庫の中のものからチェック。

兄が食べられなくなって、ラップが掛かったままになっていた食品は破棄。

使いかけの古い調味料や古い冷凍食品も破棄。古くなった野菜も破棄。

それだけでもかなり処分することになりました。

 冷蔵庫以外の食品で多かったのは、インスタント食品。

これも食べなくなり保管されているうちに、賞味期限が切れてしまったものが多数。

 その他は箱買いした飲み物や栄養補助のゼリーなど。

箱買いの飲み物とゼリーは事務所に持ち込み、スタッフへ「ご自由にどうぞ」とお譲りしました。

 ただそれだけでも随分時間がかかりました。

「この荷物全部片づけるのか…」

アパートに残された荷物を眺め、ため息が出ました。

タイトルとURLをコピーしました