兄の恋人

介護の現実

 ごきげんよう!きいです。

 今は車を運転できなくなった兄。ですが兄は「体調が良くなったら、また車を運転して出掛けたい」という気持ちを失っていません。今も時々、愛車のスバルのバッテリーが上がらないようにと、エンジンをかけるためにアパートの目の前の駐車場に出ていることがあります。

兄にとって愛車のスバルは特別な物です。それはまさに「恋人」のようです。

兄のスバル

 今兄の元にいるスバルは、お付き合いして10年になると兄から聞いていました。

 人間の恋人もいないわけでは無かったようですし、過去には結婚を考えた人もいたようです(認知症を患う前のまりぃさんからの情報!)。

しかしどうやら、人間の彼女よりもスバルの方が長いお付き合いになってしまったらしいです。

かなりの長距離を走っていたようですし、親戚からも「法事にも車で来てくれたよね」と言われます。

車中泊も多かったみたいです。

そりゃあ、愛着も湧きますよね。子供の頃、スーパーカーに夢中になっていた姿を思い出します。

愛読書は「ベストカー」。

発売日には「買ってきて」とリクエストが届きます。

 しかし!

 兄のスバルは運転席のシートを自分仕様に改造しているため、私は運転することができません。

 私が運転席に座ると、ダッシュボードから顔が見えない「幽霊運転」になってしまうのです。

この「自分仕様への改造」がなければ、私の運転でどこへでもドライブしたのに。

これはちょっと、残念な事でした。

車とゴルフ

 兄が元々営業職だったことは既にお伝えしていますね。

 兄が社会人になった頃はまさにバブルがはじける前。

 日本中が発熱しているような頃でした。

 その頃の営業職…。接待ゴルフもお盛んだったようです。

兄のアパートには存在感が半端ない、二つのゴルフセットが。

「あげるよ」と言われましたが…。

申し訳ないことですが、私は一度もゴルフをしたことがありません。

 車もゴルフセットも。私は引き継ぐことができません。

本当に申し訳ない気がしてきます。

兄の宝物や恋人。ずっと手放さずにいられればいいのに。

できる事ならずっとずっと一緒にいられればいいのに。

兄が思うように「体調が良くなったら、また車を運転して出掛ける」その行き先はゴルフ場。

そうなるといいのに。

心からそう思います。

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