ごきげんよう!きいです。
前回・前々回と、〝顎が外れた〟というトラブルについてお伝えしました。
そもそも、高齢で在宅療養をされている方や持病があって介護が必要な方にとって「お口の中の問題」は二の次にされやすいような気がします。
特にご家族には、その「嚙みにくさ」「飲み込みにくさ」「口の中の痛み」「歯や入れ歯の不具合」がなかなか伝わりにくい。
年のせい。仕方がないこと。これ以上病院にかかるのは困る。ただでさえお金も介護も大変なのに…。
口腔ケアは大事
介護者や支援者が口腔ケアを行う必要がある在宅療養者さんはたくさんいらっしゃいます。
そのご家族から「歯が無いんだから、歯磨きなんていらないですよね」とか、「(胃ろうだから)物を口から食べるわけじゃないんだから別にケアなんてしなくていいんでしょう?」と言われることがあります。
ところが、実は「歯が無くても、口からご飯を食べることが無くても、口腔ケアは大事」なんです。
もちろんご自身の歯が残っていれば、放置すれば虫歯になるリスクは高まります。
虫歯になれば、当然痛い。
炎症が起きても痛い。ひどくなると細菌が身体への悪影響を及ぼすこともあります。
口の中からは常に唾液が分泌されます。私達は無意識ではありますが、それを何度も何度も飲み込んでいます。
食べ物を取り入れ、噛み、飲み込む。しゃべる。水分を飲み込む。
それがなされない状態で口の中を放っておくと、唾液の分泌は悪くなり、乾燥し、細菌が繁殖し口腔内の環境が悪くなります。
そしてそれがむせなどが原因で、気管から肺へ。
それが肺炎の原因となり、命に関わることもあります。
口を動かす機会が少なくなると、顔や口の周り、舌、顎から首回り…。いろいろな筋肉が衰えます。硬くもなります。
筋肉が衰えると、飲み込みの失敗が増えます。むせる、喉に物を詰まらせるということも出てきます。活舌が悪くなることもあります。表情も乏しく見えてしまいます。
歯があれば、毛足の柔らかい歯ブラシで歯磨きを。
歯が無い場合でも、口腔ケア用のスポンジブラシなどで口の中の汚れをきれいに拭き取り、マッサージをしながらほぐすことも大切なんです。
汚れを取って、口の中がきれいになるとスッキリして気持ちがいい。
マッサージで刺激を受けると唾液の分泌が増え、口の中が益々潤いきれいになる。
潤うと歯茎も健やか。
マッサージで頬や唇をほぐすと筋肉が柔軟に。
そしてきちんと合った入れ歯を装着することが、実は「顎が外れた」の防止になると言われています。
身体の機能は、できるだけ発揮できるようにしてあげる。
それが難しければ、ちょっと手伝う。
口の中の環境保全も、忘れずに…。
それが実は命にも直結する大切な事だったりする。