ごきげんよう。きいです。
以前お話した訪問看護の利用料を滞納しがちなご家族様。
そのうちのお一人が、ケア中の私に「今後の暮らしについて」を話して下さる機会がありました。
(ちなみに、昨日のブラックリストの方ではありません)
そのご家族様は40代位とお見受けします。介護のキーパーソンとしては若い方です。事業を失敗した経験があり、今の収入も不安定です。
ある日、生活に困窮する様子を知る友人から「親を施設に預けて、仕事に集中する時間を増やせば収入が増えるじゃないか」と滾々と説得されたのだそうです。
なるほど。
ごもっともなご意見です。
しかしこのご家族様は、友人の意見に耳を傾けようとはしません。
「どうすればそんなことが実現できるとお思いですか?」と聞きたくなるような、夢のような話をされるばかり。
本当に実現できるのか?
「親を施設に入れろなんて、介護をしたことが無いから言えるんだ」「副業をこれから始めて、不労所得で儲かれば介護もできて良いんじゃないか」「今は周りの人に、多少の迷惑をかけているけれど、何とかやっているんだから良いじゃないか」と仰います。
「会社員しかした経験したことが無い人は、迷惑をかけないようにって考えるかもしれないけれど、自分はそうじゃない。最悪を見て来た人間だから、今はまだましな方。人に多少の迷惑はかけているかもしれないけれど、それでもやれているんだから。」
「自分が身体を動かさなくても収入を得られる方法なんていくらでもあるんだ。ただ、今はまだ介護と仕事で睡眠時間も十分にとれない状況だから、始められていないだけ」と…。
私…。目の前にしている人の話を聞きながら、こんなにも距離を感じたというか…途方に暮れたというか…だめだ、こりゃ…というか。そんなふうに思ったことって初めてかもしれない。
まるで「私は宇宙人と話しているのか?」というくらいの感覚でした。
今はできないけれど、収入を得る方法はある。それができれば収入は得られるようになる。
そう言いながら…。
受診のためのお金がないから、「体調が悪いから」という理由を付けて親を病院に連れて行かない。
だから必要な検査や処置が受けられない。
一番迷惑をこうむっているのは親御様だと思うのですが。
病院をお休み
ちょっと昔、病院が高齢者のサロンのようになっていた頃。
「今日、〇〇さん来ていないわね」
「今日は体調が悪いから、病院をお休みですって」なんていう笑い話?がささやかれた頃がありましたね。
今は「体調が悪いから病院をお休み」の時代ではなく、「お金がないから病院を『体調が悪いから』とずる休み」なのか?
でも…こんなケースが、今後増えて来るかもしれません。
他にも「お金が払えないから、訪問看護を辞めたい」という方も出始めています。
これが2023年、今の日本の現実です。
悲しい。