ごきげんよう!きいです。
医療者や在宅療養の支援者が、利用者様のご家庭(アウェイ)に訪問する時に伴うリスクについて…が続いています。今回は自分たちの身を守るために、あらかじめできること、リスクの予防について考えてみます。
どうやって身を守る?
前回<アウェイへ足を運ぶリスク>で紹介したようなケース。また、困難事例の依頼があったときには、「訪問看護の依頼を受けない」というのも予防になります。
訪問看護は依頼の段階で、療養者本人の情報(本人の名前や住所等の個人情報は伏せた状態)以外にもキーパーソンが誰か、主治医は誰かなどの情報が入ってきます。そのやりとりの中で、問題のある方は「困難事例」であることの伝達があります。
そのような依頼があっても即座に断ることはしません。
「所長に相談して折り返しお返事させてください」となります。そして所長がさらに依頼者から話を聞き、いかがかと思う時には「スタッフとの会議で決めさせてください」となります。
私達も何とか受けることができないかとは考えます。「困難事例」と呼ばれるにいたる原因はどこにあり、それはどうにもできない事なのか?それともいろいろな要因が原因であり、それが解消されれば何とかできるものなのか?
それを考えてもどうにもならない場合には、ご要望に沿えるステーションを紹介することになります。
依頼を頂くケアマネジャーや病院のソーシャルワーカー、退院調整看護師、地域医療連携室の皆さんと、前もってしっかりと情報共有をして対策を相談しておくことが大切な事が実感できるときです。
ご要望に沿えるステーションとは?
「困難事例」やそこまで行かなくても、「介護サービスの事業所を何度も変えている方」の場合、なぜそうなのか?の確認をします。
それを良く伺い、どのような事業所ならば円満にサポートできるのか?をケアマネジャーや病院のソーシャルワーカー、退院調整看護師、地域医療連携室の皆さんと共に考えます。
例えば…。
・介護者によるハラスメントがある場合。
この場合は、男性スタッフが在籍する事業所が担当した方が円満にいくと思います。又はスタッフ数が多い事業所が介入し、複数名で訪問するよう契約を結ぶという方法もあります。
・無理な要望が多い場合。
「緊急対応をしてくれるというのならば、いつ何時も5分以内に駆け付けるのが当然だ。」
この場合には、できるだけ自宅から近い事業所を当たって頂くしかありません。
それが難しいのであれば、訪問看護師の移動に使う車両は緊急車両として認められていないということをご理解いただくしかありません。
「いつも自分が気に入った看護師だけが来るようにして欲しい。他の人には来て欲しくない。」
この要望に対しては、各事業所の方針を確認して頂くしかありません。
私が勤務しているステーションは、緊急対応は当番制。定期の訪問も、緊急時対応やスタッフの休日確保のために複数名が関わるようになっています。
しかし中には、完全担当制の事業所もあります。定期訪問も緊急時対応も担当者が行うというスタイル。
「いつも同じ人に来てもらいたい」というご要望のある方は、完全担当制の事業所があっていると思います。
「自分が望むケアをしてくれないと困る」
入浴介助の際、浴槽にどうしても浸からせてあげたいから、介助者は水着に着替えて一緒に風呂に入って欲しい…。といったご要望のあるケースです。
こちらは利用者様の安全を守らないといけません。体調的に、動作的に、衛生的に、環境的に無理なことはお受けすることはできません。
「医師は風呂に浸かってもいいと言ったのだから!」と言われましても…。
先生もまさか看護師が水着に着替えて抱きかかえて入浴することをお考えとは、思いもしなかったでしょう。
そういう場合には、訪問入浴のサービスを提案させていただきます。
それではダメということなら…。こちらもダメです…。
以上はあくまでも例ですが…。
何が私達を守ってくれるのか?
その答えは法律やルール。
契約を結ぶ際にはきちんと書類の説明をさせて頂き、共に平等であること、双方に解約権がある事をお伝えします。
そこにサインを頂いて、双方が一部ずつ保管して。
その意味をしっかりと私達も理解しておかないといけませんね。
追伸:その〝契約書〟や〝重要事項説明書〟に、「ここは、文章に一行開けないとおかしい」
「文章の頭が半角ずれている」等、赤ペンで添削を加えて返却してきたご家族がいらっしゃいました。
チェックの入った部分は、修正して再度お渡しさせて頂きました。
いろいろな方がいらっしゃいますね。