昔の介護

在宅介護

 ごきげんよう。きいです。

 先日、90歳を超えた女性の利用者様Kさんとお話をしていて、今は亡きご主人の、さらに亡き義父の介護をしていた頃の体験を伺いました。

 きっかけは「今は訪問看護や訪問ヘルパーなどの介護サービスがあって素晴らしい時代。私が義父の介護をしていた時には、そんなサービスはなかったわ」というKさんのお話しでした。


 Kさんは、認知症になった義父を、長男である夫が引き取ることを相談も無く決めてしまい、仕方なく介護がスタート。
子育てと介護を一手に引き受け、妻として母として嫁として頑張られたそうです。

 だけど義父がトイレに間に合わなくなり、簡易トイレ(今でいうポータブルトイレだと思う:当時もそういうものが有ったのですね!)の中身を庭にまき散らすようになったころ。

 主治医の先生が、受診に付き添うKさんのやつれっぷりを見て…。

「見るに見かねたんでしょうねぇ。『ああ、これはいけない。入院しないとだめだ!』と仰って…。それから義父は亡くなるまで病院から帰ってこなかったんです。」

 …ほうほう。

「そしてね。当時は医療費もかからなかったけれど、付き添いさんもタダでついてくれたのね。その方が、私の辛さをとっても良くわかって下さって…『奥さん。これからは私に任せて下さい』って言って下さったの。」

…ほうほう。

 もちろん、私。Kさんと話している時には「ほうほう」とは言いませんでしたよ。
「それは大変でしたね」とか「そうでしたか…」とか真面目に返答しながら、Kさんのお話を伺いました。

だけど…。

亡くなるまで入院させてくれる病院とか。
高齢者の入院費は無料とか。
付き添いさんが付いてくれて、さらにその料金が無料とか。
今では全く信じられない世界なんですけど!
今よりも、そちらの方がうらやましいんですけど!(認知症在宅介護の経験者としての素直な発言!)
今はそれができないから、介護保険やら在宅介護の支援ができたんですけれども!

 それでも、「私は大変な介護を頑張ったのよ」と遠い過去を振り返りながら仰るKさんに「うらやましいです」とは言えませんでした。

 きっとKさんの「大変」は、夫が相談も無く認知症の父親を引き取った事や、子育てと介護の両立、良き妻良き母良き嫁であることを求められたこと、急に始まった異性の介護(特に排泄の世話)などだったのでしょう。

今のように情報も無く、ケアマネさんもいない。
相談相手もいらっしゃったかどうか。

それを考えると、やっぱり「頑張られましたね」という言葉が出てきます。

いつの時代も、介護は大変です!

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