まりぃさんのお迎え時間に間に合わない‼~前編~

介護の現実

 ごきげんよう!きいです。

 昨日は「緊急で呼び出されるなら、まりぃさんが眠っている夜中の方がいい」と書かせていただきました。これは本当の話。困るのはまりぃさんが朝の準備を始めないといけないときに家を出ないといけないこと。一番困るのはデイサービスのある日の朝。

 さて、そんな〝一番困る〟タイミングに緊急の連絡が入り、デイサービスのお迎えに間に合わなかったことが、過去に一度ありまして…。その時の話です。

24時間

 私が勤める訪問看護ステーションは、24時間の緊急訪問に対応しています。訪問看護ステーションは必ずそうではならない訳でなく、日中だけの訪問しかしていないステーションもあります。

 私が勤めるステーションは、立ち上げる時に「24時間の対応をしないと、利用者様が困るよね。対応できないのは私達も嫌だよね。」と、最初から考えていました。

 24時間ということは、もちろん夜中でも電話相談に応じ、必要であれば訪問もします。

「電話もかからず出動もない」という日や、「電話対応だけで解決したので出動は無かった」という日もあるのですが…。

それは雪の日のこと。

 それは何年か前の雪が降る土曜日。日付が変わる前からお看取りの瞬間が近づく方がいらっしゃいました。前日の訪問時から血圧は下がり、呼吸も変化がみられていました。

 その状況を訪問診療の医師へ報告し、クリニックと訪問看護ステーションのどちらに呼吸停止の連絡が入っても良いように情報共有をしていました。

 その方は苦痛がある様子はなく、穏やかな表情で呼吸を続けています。

 この段階まで来たら、あとはご家族との大切な時間を過ごしていただくことになります。

 いつその瞬間が訪れるのか。その瞬間、家族みんなが目を離したり、眠っていたばかりに一人ぼっちで逝くことになるのは可哀想だと、奥様をはじめご家族が交替で見守っていらっしゃいました。

その方がどんなに家族思いの夫であったか、お父さんであったかが分かります。

 夜間の間に、何度か状況報告と、このまま見守っていて大丈夫かという確認の電話対応がありましたがその都度ご家族が安心できるようアドバイスをしました。

 そして「お父さんの息が止まったみたいなんです。」と連絡が入ったのは、朝の5時が近づいた頃。ご家族から呼吸停止の連絡が入ったことを訪問診療のクリニックへ報告し、医師へ伝えてもらいました。

電話の後、私もすぐにご自宅へ向かいました。

 まりぃさんは眠っています。土曜日なので、自分のことを後回しにすればデイサービスのお迎えまでには、着替えも食事も含めて間に合うだろうと思われました。

 まだ外は暗い時間。雪は降り続いていましたが、車道は夜間の車の走行により、凍り付いてはいませんでした。

 ご自宅に医師より早く到着した私は、ご家族に促されその方と対面しました。

 この時はまだ死亡確認がされていないので、ご存命の方と同じように、そして失礼に当たらないように接します。心拍と呼吸が確かに停止していることを確認し、それをご家族へお伝えします。そして間もなく医師が到着し、死亡診断をして下さることをお伝えしました。

 だけど、だけど…。医師がなかなか到着しない!!

 あれれ…。先生の死亡診断が無いと、エンゼルケアが始められません。

 大切なご家族を亡くされたばかりの方々の中に、私一人がポツン…。

 さあ、どうしましょう。大切な看取りの場面を台無しにしないために、わたしにできることは何なのか?

 そして、まりぃさんのデイサービスのお迎えに間に合わなくなるわけですが、私はどうしたのでしょうか?

次回へつづく…。

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