ごきげんよう。きいです。
Aさんの救急搬送についての話…。文字にしてみると、やはり長くなってしまいました。
その中でAさんのしっかり者の一面や、救急隊の頑張りが少しでも伝わればありがたいのですが…。
本当にAさんはしっかり者で、がんばりやさんでした。
病気で仕事ができなくなるまで「男ばかりの職場でね、要領よくやらないとやっていけなかったのよ」とハードなお仕事をこなされていた話をよく聞かせて下さいました。
病気をされて、自分の身体が思うように動かせなくなり、辛い思いをしたこと。嫌な思いもたくさんして来たことを、よく私に話して下さいました。
結婚はせずおしゃれもせず、お給料と退職金をしっかり運用。
施設に入っても十分生活できるだけのお金は持っていると伺っていました。
ですが、施設入居ではなく一人で暮らすことを選んでいらっしゃいました。
私は個人的に、Aさんが搬送を断られ続けた理由に〝高齢者で独居である〟〝血縁者が身近にいない〟〝入院にならなかった場合、一人で帰宅することができない〟という事実は大きな影響を与えていたと思います。
今、そんな方…。たくさんいらっしゃると思うのですが…。
また後で、病院が受け入れを嫌がるケースについてもまとめてみたいと思っています。
AさんはR病院で手術を受けたのち、無事に杖歩行が可能な状況になって退院されました。
周囲からは「施設に入った方が安全」と言われ続けましたが、集団が苦手で自分のペースが人とは違うと、首を縦に振ることがありませんでした。
そのAさんが施設入所を決心したのは、市営住宅で火事がおきた事がきっかけでした。
大きな火事ではありませんでしたが、出火元が近くでした。
Aさんは一人で逃げることができず、駆け付けた警察官に抱えられて救出されたのです。
ですがその際に、警察官の身に付けていた何か硬い物がAさんに押し付けられる形になり、Aさんは足に壊死を起こしたのでした。
処置に訪問するたびに「火事のことを夢に見る」「一人でいるのが怖くなった」と話され、ケアマネさんと施設見学に行くようになりました。
ある施設が気に入ったAさん。
その施設へ入所されることになりました。
最後の訪問の日には「きいさんにはお世話になったから、私が亡くなったら残ったお金を少し受け取ってね」と話されていました。
私以外にもケアマネさんやお気に入りだったヘルパーさんの名前も挙がっていました。
もちろん「ご自分のために使って下さい」と固辞させていただきました。
「ダメよ。受け取ってもらうからね」と言ってくれたAさん。そのお気持ちが嬉しかったです。
その後Aさんは施設で誤嚥性肺炎を起こし、亡くなられたとケアマネさんからききました。
入所されてからはずいぶん施設での生活に文句を言っていたようです。
大変失礼ですが…目に浮かぶようでした。
もちろん私の元に「Aさんの遺産を受け取る権利があなたにあります」という連絡は一切無いまま、今に至っています(笑)