えい君、まりぃさんとの対面

介護の現実

 ごきげんよう!きいです。

 緩和医療科受診の翌週、医療用麻薬の持続皮下注射を外して貼付薬と内服でコントロールの付いた兄は、いよいよ退院の日を迎えたのでした。

 だけど、またしてもドタバタ劇が…。本当に色々なことが起こります。

家に帰ろう!

 いよいよ兄の退院日。暑く日差しも強い日でした。

 時間通りに迎えに行くと、既に荷物をまとめ、着替えも済ませた兄が病室で待っていました。

 薬剤師さんから退院時処方のお薬を頂き、説明を受けます。

 病棟の看護師さんも退院準備の進行具合を確認してくれたり、クラークさんは書類の確認をしてくれたり。

「忘れ物が無いように」と人の出入りがしばらく続きました。

 会計は既に兄が済ませていたので、あとは車に乗って帰るだけ。

 ところが…。

 何と病院の駐車場で、まさかのバッテリー上がり!

外出から戻った時に乗ってきたまま、駐車場に止まっていた兄のスバル。

エンジンがかかりません。

暫く頑張ってみたものの、唸るだけのエンジンに兄も諦め…。

とりあえずタクシーで帰宅することにしました。

まりぃさんとの対面

 帰宅前に、私の家に寄る必要があったので、タクシーを降りました。

家にはまりぃさんがいました。

いつも通りTVを見ていました。

「ちょっとお茶でも飲んで待っていて」

荷物を降ろして、椅子に腰かけた兄。それを見ているまりぃさん。

ほんの少しの時間でしたが、兄とまりぃさんの久し振りの対面でした。

『ひょっとしたら、これが最後の二人の対面になるかも…』と思いました。

まりぃさんは兄に向って言いました。

「何、あんた。病気なん?」

はあ?何とおっしゃったかな?

いくら痩せてしまっていても、普通はそんな言葉を本人へぶつけることは、さすがにはばかられると思うのですが。そこはやっぱり認知症。空気も何も全く読めず。

「うん。病気なんだ…」

兄はそれだけ言いました。

するとまりぃさんは「ふうん」とだけ言って、また視線をTVに向けたのでした。

2人の会話はそれだけでした。

タイトルとURLをコピーしました