エレベーターが停まっただけなのに~後編~

介護の現実

 ごきげんよう!きいです。

 地震のために停まってしまったマンションのエレベーター。まりぃさんときいは、家に帰れない状態になってしまいました。まりぃさんが一緒でさえなければ。一人だったらとっくに帰れているのに…と悲しい気持ちになってしまいました。

さて、帰れない時間はまだ続きます。私は、本当はどうするべきだったのでしょうか?

復旧をお待ちください。

 まりぃさんを車椅子に座らせ、二人で向かった図書館。だけどすでに閉館していて…。

 ロビーに設置してある小説を読みながら時間を潰していました。まりぃさんはクスクス笑いながら本を読んでいて、この待ち時間が苦痛ではない様子です。

 その間に私は、マンションの管理会社に電話をかけて「エレベーターが動くようになるのはいつ?」という問い合わせをするのですが「周囲にはマンションや商業施設も沢山ありますからねえ…」と見当もつかない様子です。

「申し訳ありませんが、復旧をお待ちください」と謝られてしまいました。

 ため息をつきながら、まりぃさんと家族の夕食のことを考えました。

 このままでは夕食の支度ができないので、みんなで外食をすることにしました。(そういえば、この頃はまだ新型コロナ感染症もない頃でした…)

 時間を決めて図書館からすぐそばの商業施設に入っている和食レストランに集合!

「早く何とかならないかねぇ…」とかなんとか言いながら、言葉少なく黙々と食べる家族。

 周囲の人から見て、ちっとも楽しそうじゃなく、美味しそうに食べない変な家族だと思われたかも知れません。

 その後は私とまりぃさん以外は家に帰し、二人はぶらぶらとウィンドウショッピングをしたり、車でコンビニへ移動し、ちょっとした買い物をして時間を潰しました。

 夫と義母のいる方の家(本当の我が家)へ、ヘルプを出そうかとも思いましたが、まりぃさんを連れて行っても私の部屋は2階だし、リビングで寝かせるわけにもいかないし。

 そもそも遅い時間に、認知症の母を連れて行くこと自体、迷惑がられそうで気が引けました。

 ここまで頑張ったのに、移動している間にエレベーターが復旧したら悲し過ぎる…。そんな思いもありました。

 結局我が家へ向かうプランはあきらめ、車をマンションの駐車場に止め、エレベーターのメンテナンス会社の人が来るのを見張っていると…。

来た!!

作業着を着た若いお兄さんが駆け込んで来たじゃあありませんか!

配電盤みたいなのを開けて何か作業をしている!

 車から出て、作業を終えたと思われるお兄さんに「すみません。もうエレベーター、動きますか?」と話しかけると、えらいびっくりされようでしたが、「お待たせしました!もう動きますから!」と直立不動の姿勢で答えてくれました。

良かったよぅ~。本当に良かったぁ~。

 お兄さんはあちこち走り回って復旧作業をしていた様子で…。私は文句の一つも思い浮かばず「ありがとうございました。助かりました。」というのが精一杯でした。

またしても迂闊!!

 そんな話を週明けに職場で話したり、のんさんへ報告すると…。

口をそろえたように「連絡をくれれば良かったのに~!」って。

 そうか!ヘルプを求めても良い人たちがいてくれたんだ!

またしても迂闊!!

所長は「私だったらおんぶで階段を上がれると思う。」って…。おいおい。いくら山登りやスキーが趣味とはいえ、貴女は女性ですから…。

のんさんは「うちの男衆を集めたのに!」って…。全然思いつかなかった!男性に力を借りること…。

だけど、土曜日の夜の話。もしみんなの顔が脳裏をよぎっていたとしたら、私は連絡をしたかしら?

きっと、できなかったと思う。まりぃさんの体調が悪いとか何かない限り、絶対遠慮していたと思う。

 だけど、これが利用者様とご家族に起きた話だったら、私も「そんな時には連絡を下されば、ケアマネさんと一緒にどうすれば良いか考えますから」って言っている筈…。

発見:助けを求めるって、難しい。

本当に難しかった!

自分のために人を巻き込むこと。人の貴重な時間を奪うことになるのではないかと考えてしまう私。

あ~あ、こんなんじゃあ、ダメだな…って思った出来事でした。

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