えい君の初回診療、そしてご立腹!~前編~

介護の現実

 ごきげんよう!きいです。

 えい君の車のバッテリー上がり、まりぃさんの空気を読まない爆弾発言など…。えい君にとって、ダブルパンチが繰り出された訳ですけれども…。実は、ドタバタ劇はまだまだ続きます。今回は「温厚」だと思っていたえい君がご立腹した話です。

初めて入る兄の部屋

 まりぃさんはTVを見続け、私はちょっとした用事が済んだので、いよいよえい君のアパートへ向かうことになりました。

これから先は私の車で移動。

 兄の車は、どうやら元々バッテリーの調子が悪く「退院したら交換しないといけない」と思っていたらしい。そのためスバルのディーラーさんへ、落ち着いたら相談してみることになりました(後日、ちゃんとバッテリーが新品になりアパートの駐車場へ帰宅できたのでした。…当前ですが、とてもありがたかったです…。)

 そしていよいよ、兄の部屋へ到着。荷物を運びこみながらお邪魔することに。

初めて入る兄の部屋は、〝ザ・男の部屋〟という感じ。

可愛げも色気もありません。

バイクのメットやゴルフバック、車の情報紙が積み上げられて…なんとも男性らしい物が多数あり、室内の臭いも男臭と少しの煙草の香りがしていました。

ゴミ屋敷ではなくてホッとしたものの、床やカーペットには細かなゴミが…。

そして本日の会議の場所になるリビングへ向かうために、どうしても通過しなくてはいけない台所スペースには、段ボール箱に乱雑に詰め込まれたカップラーメンやレトルトカレーなどが丸出しに…。その脇には箱買いしたジュースがそのままに。

『あ~あ。この段ボール箱も片付けないと』

『あらら。何よ、この箱買いしたジュースは?』…なんて、心の中で思う私…。

病院から持ち帰った荷物をベッドの上に置き、少々お疲れの様子の兄。

「ちょっと掃除をさせてね。お兄ちゃんは休んでいて」

窓を開けて換気をし、段ボール箱達を〝今だけ〟別室へ運び込む。

掃除機をかけて、テーブルとソファーの上も拭いて。

 突っ込みどころはあったけど、本当に〝とんでもないものが散乱している部屋〟じゃなくて「本当にありがとう!」と思ったのでした。

初めての訪問診療。そして皆さんとの顔合わせ

 なんとか人が集まっても大丈夫なように体裁を整えて、約束の時間になりました。

 ケアマネののんさんと訪問看護ステーションの所長が到着です。

うちの所長とは、父の葬儀の時に〝喪主と列席者〟という形で会っており、兄も面識がありました。

のんさんとは初対面でしたが、まりぃさんの担当ケアマネであることを伝え「お世話になっています」とお互いに挨拶をしました。

「体調はどうですか?」とか何とか、話し始めたときにY先生が到着です。

先生も兄に挨拶と自己紹介をされ、その後診察が始まりました。

今感じている症状を聞き、身体所見を確認。

次回の訪問診療までの薬が不足しないように調整するため、Y先生が病院から処方された薬を確認していた時です。

兄が思わぬ発言をしたのです。

「先生。買い物に行くために車を運転したいんです。貼り薬の麻薬を止めたいんですけど。」

えええええー――――――?マジっすか?

 せっかく今、いい感じで痛みが抑えられているのに、その立役者の大切な薬を止めようなんて…。それも買い物のために?

これは私も迂闊でした。

確かに退院時処方を受け取る時に、「医療用麻薬を使っている時は、車の運転は避けて下さい」と言われました。

私は、痛みをコントロールするために、薬は絶対に必要な物であると、当然のように考えていました。

「車の運転を止めるのではなく、薬の方を止めようとする」という発想が私にはありませんでした。

そういえば「転倒も覚悟の上」とか「ヘルパーさんは不要。自分でできるから」とか言ってのけるのが、うちの兄でした。

自分の身体がどんな状況であるかを何度も聞いてきたはずなのに…。

これにはさすがのY先生も、唸ってしまいました。

さあ、唸ってしまったY先生。その返答はどんなものだったのでしょうか?

次回へつづく…

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