再び入院 ~其の三~

介護の現実

 ごきげんよう。きいです。

 兄の入院が決定し、受け入れ準備が進む中、兄と私は車で病院へ向かいました。

兄がまだ歩けたので、今回は救急車を要請せずに済みました。入院も自分で決めたこと。

その分、同じ入院ではあっても、前回よりは楽な気がしました。ただ、体調は違います。

私が感じる不安にも変わりはありません。

病院へ

 病院玄関へ到着したのは15時45分頃だったと思います。車を入り口に近いところに停めさせてもらい、病院の車椅子をお借りして兄を病棟まで送りました。

 入り口では、以前よくお見掛けした警備員さんに「今から緩和病棟へ入院します」と声を掛けると「どうぞ!」とすぐに通して頂けました。

 体重が50㎏台に減ってしまったとはいえ、身体の大きな兄を乗せた車椅子を押して、幾つもの荷物を肩から下げた私は、周囲からどんなふうに映ったでしょう。

 エレベーターで病棟へ移動し、ナースセンターの前で「えい君です。またお世話になります」と声をかけました。以前入院した際にお世話になった看護師さんたちの顔が見え、ほっとしました。

 病棟へは既に退院調整看護師のTさんから連絡が入っていて「えい君ですね。こちらへどうぞ」とそのまま病室へ案内されました。

 部屋は個室でしたが、前回入院した部屋とは違いました。

 兄は部屋へ入ると、窓の外を見て「こっちからは富士山が見えないなぁ」と言いました。

「散歩できるようになったら、また見に行けるんじゃない?」と私は答えました。

再び大変な作業

 入院してからは、何枚もの書類へ記入をしました。

この作業…。何とかならないものかと、今回は思いました。

前回と同じパンフレットを頂き、同じ書類へ同じ内容を記載する。

「前回も、これ書いたじゃん」と思うものが多数。

 一番面倒だと思ったのは、面会者を登録するための書類。

全員の氏名・年齢・患者との関係・住所・電話番号を書くのですが、途中で何度も「前回も、これ書いたじゃん」という言葉が頭をよぎりました。

 書類へ記載している間にも、看護師さんやクラークさん、栄養士さんが色々確認に来てくれます。

 その度に私の手が止まります。

〝兄の食事と水分の摂取状況について〟看護師さんと栄養士さんから、同じ質問をされ同じ説明をした時も「情報共有してもらえれば、同じ話をしなくてすむのにな」と思いました。

 栄養士さんは兄の傍にいる私を〝妻〟と勘違いしたのか、説明の所々に「…だと思います」とか「…と聞きました」と私が言う度に、チラチラと私の顔を見ました。

何度もあったので「すみません。私は妹で、一緒に住んでいないので…」と言いました。

すると「ああ、そうなんですね」と納得がいったようでした。

 内心、なんで私が「すみません」って謝らないといけないんでしょうねぇ…とちょっとだけイラっとしたりして(笑)

私も不安を抱えた中、時間を気にしながらのバタバタした入院でしたので…。こんなところで未熟さが露呈してしまいます(笑)

しかし、これは仕方がないことだと思うようにしています。

兄の〝おひとりさまの介護〟をしてきて、妻と間違われることは何度もありました。

最初は兄も、ちょっとだけばつが悪そうな表情を浮かべていましたが、私がいつも小声で「奥様じゃねーよ」と芸人さんの真似をして言うと「くすっ」と笑いました。

そんなことを思い出しました。

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