ごきげんよう。きいです。
私は仕事がら、沢山の皆さんのご自宅へ訪問します。
それぞれの家庭ごとに、それぞれの〝におい〟があります。
ルームフレグランスの香り…これはあまりありません。
トイレやゴミ箱にミントやグリーン、ハーブの香りが嫌味にならない程度に香っていることは…よくあります。
お料理の匂いは…お昼前後の訪問中に漂ってきます。
便処置の後に、窓を全開にして臭い消しのスプレーを利用者様の周囲に吹きかけた娘様にはちょっとびっくりしたこともあります。
たちの悪い臭い
排泄物の臭いは確かに鼻にはつきますが、私にとってはまだまだ序の口。
訪問していて、あまり声には出せませんが「うっ…」となる臭いが染みついている家庭があります。
排泄物よりもたちの悪い臭いって?と思われるかもしれませんが…。
訪問者の衣類や髪にも移る臭い。
鼻を衝く臭い。
それは「タバコ臭」と「獣臭」です。
「タバコ臭」が染みついた部屋は、「換気をしていない喫煙室って、こんなふうなんだろうなぁ…(と言っても、喫煙室に足を踏み入れたことが無いので、あくまでも想像です)」と思います。
可能であれば、窓を開けて換気をします。
だけど、部屋の壁やカーテンにまで染みついた臭いはそうそう消えるものではありません。
「獣臭」は、動物の排泄物の臭いに生臭さがMIXされています。
利用者様とご家族様の、高齢・病気・介護等の理由で、飼っていた犬や猫のきちんとした飼育ができなくなっているのです。
ごく普通の広さの一戸建ての家に、犬が7匹…。臭いだけでなく吠えられるわ、飛びつかれるわの大騒ぎだったことも。
猫も2~3匹は珍しくありません。壁や障子・襖は大抵が大変な状態です。
もう管理が不可能になっているのです。
でも可愛いから手放すこともできません。
犬の場合は窓を開けて換気ができる事が多いけれど、猫の場合は「猫が出て行ってしまうから開けないで」と言われることもあります。
臭いが消えない
訪問看護の滞在時間で最も一般的な時間である「約60分の滞在」。
その間に匂いが染みつきます。
退室後もしばらくは臭いが消えません。
「獣臭」の場合には、臭いだけではなく犬や猫の抜け落ちた毛も靴下やズボンに付着します。
感染対策時に使用するスリッパや、靴下の上から履くカバーも使います。
車に乗る前に、自分に付いた毛をコロコロで取ります。
走行中、車の窓を開けて風を通します。
いつもよりハフハフと呼吸をして、肺に入った臭いを出せるものなら出し切ってしまいたい気持ちです。
訪問の後、事務所に戻るのならまだしも、その後に具合の悪い方・嘔気で辛い方・小さなお子さん等への訪問があるときには、移動途中に着替えをすることもあります。
そうしてまた、移動途中のひと手間(看護業務以外の手間)が増えることになるのです…(涙)。
この臭いの問題は、ちょっとやそっとで解決できるわけではありません。
生活習慣・生活そのものについて見直すことができれば良いのですが、それができないからこそ臭っているのです。
なかなか難しい問題なのです。