ごきげんよう!きいです。
昨日の作業療法士に引き続いて、今回は言語聴覚士にスポットを当ててみたいと思います。
架空の利用者様Aさんに、言語聴覚士の介入…?会話やコミュニケーションに問題があるのかしら?と思われた方…。言語聴覚士の仕事は会話などコミュニケーションへのアプローチだけではないのです。
在宅における訪問リハビリテーションの役割
言語聴覚士は、病気やケガだけでなく発達上の問題で言語・聴覚・認知・発声・発音などのコミュニケーションに問題がある方に、基本的な機能の評価、機能回復のためのトレーニング、指導、援助を行います。また、それだけではなく、摂食・嚥下の問題にも対応します。
摂食・嚥下の問題って???あまり耳にしない言葉かもしれませんね。
食べ物を食べる時、私達は目で見て食べ物を認識し、その食べ物を口に運び、歯で噛み砕きます。その食塊を舌や頬を使って口から喉へ送り、その後喉から食道、胃へと送り込むという動作が行われることで、栄養を取り込むことができるのです。これら一連の身体に備わった機能が〝摂食・嚥下機能〟であり、そこに問題のある人にも言語聴覚士さんが対応しているということなのです。
またまたAさんの登場
モデルケースのAさんは脳梗塞となり左半身に軽い麻痺と軽度の飲み込み難さが残ったものの、命に関わる事態にはならずに済んだ…という想定でした。
そう。この〝飲み込み難さ〟へのリハビリを行うのです。
飲み込み難さも〝摂食嚥下の問題〟の一つです。ただ飲み込みにくいと言っても、食べ物を喉に送り込むことが難しいのか?飲み込むことはできているのに、むせてしまうのか?
むせてしまうということは、上手く食道に送り込むことができず、気管に入ってしまうことにより起こる「誤嚥性肺炎」を起こしやすくなっている危険があります。
この誤嚥性肺炎はAさんのような脳血管疾患の方だけではなく、認知症の方も含め、高齢者全般に起こり得る問題なのです。
では、言語聴覚士の役割は…?
安全に摂食・嚥下できるかどうかの評価
Aさんがとっている食事の形態がその機能に合ったものかどうかを確認します。口に入れる食塊の大きさ・食物の量は適切か?口腔内の状態に問題はないか?飲み込む動作に問題はないか?食事の際の姿勢に問題はないか?首の角度は適切か?等の確認をします。
リハビリテーショントレーニングの実施
Aさんの摂食・嚥下機能の維持と改善のために、リハビリメニューを組み立て、実施します。適切な形態の食事を使って、姿勢・一口の量、飲み込み動作などを根気強く慎重に見守りながら練習を繰り返すのです。
起こりえるトラブルの予防
Aさんに起こりえる摂食・嚥下のトラブルと言えば、窒息、誤嚥とそれによる肺炎の発症や低栄養です。Aさんにとって適切な食形態を提案し、それは自分で調理できるのか、宅配などを利用するのか。食事の摂取量が進まないうちは、どのようにして足りない栄養を補うのか。栄養状態は低下していないか?体重は減っていないか?一日を活動的に過ごせているのか?等を確認し、問題があればリハビリを継続しながら医師や看護師との連携を図り、栄養剤の処方や吸引の検討などを行います。
〝美味しいものを、満足感を感じながら食べる〟その喜びをAさんがいつまでも実感できるように。そして食事が命を脅かすものにならないように。体力の維持と健康状態が保てるように。
看護師にとってもAさんにとっても、言語聴覚士の存在意義は大きく、無くてはならない存在なのです。
Aさんの持つ力を最大限に生かし、最善の未来へ導くためにはリハビリテーションは必須なのです。