まりぃさん、初めての一人歩き。

母の介護

ごきげんよう!きいです。

今までにも度々書いてきたように、まりぃさんは夕方や夜中に一人で出かけようとすることがあります。そして何度も実行に移したことがあります。

いわゆる〝一人歩き(徘徊)〟です。

一度は私から、警察へ連絡したこともあります。

そんなまりぃさんの行動があった時、私は何を思ったか。警察への電話では何を聞かれたのか?など、経験談をお伝えします。

徘徊シリーズの第1弾は、「初めての一人歩き」です。

初めての一人歩き。

 始めてまりぃさんが一人で家を出たのは、今のマンションへ引越してから間もなくのことでした。

 仕事帰りの私は、運転する車がマンションの近くに差し掛かった時に、まりぃさんが歩道を歩いているのを発見したのです。

 「何をしているの?」

 最初は本当に何が起きたのかがわかりませんでした。

 歩いているのが、まりぃさんだということは、すぐにわかりました。

 まりぃさんは一人で、人波に紛れるように、普通に歩いていました。

 奇抜な洋服も着ていないし、人の目を引くようなおかしな行動もしていませんでした。

 ただ高齢の女性が歩いているだけでした。

 私一人だけが、その場面を見て「何をしているの?」と不自然に思っていることも、今思い返せば変な感じがします。それだけ自然な光景だったのです。

 私は車を路肩へ駐車し、まりぃさんを追いかけました。まりぃさんにはすぐに追いつくことができました。

 後ろから「お母さん、何してんの?」と声を掛けました。

 「あらぁ!きいちゃん。お母さんね、ちょっと散歩しようと思って…。」

 「こんな時間に散歩って…。迷子になったらどうするの?車をそこに停めたから、乗って。」

 とまりぃさんを車に乗せ、帰宅したのです。

 その時、私の頭は「まりぃさんが徘徊をした。」と認識していました。

 だけど、私の気持ちは「まりぃさんは散歩をしていたに過ぎない。本人がそう言っているんだし。」と思いたくて、そうしようとしたのですけれど…。

 まりぃさんを呼び止めたときの息遣いの荒さが、実は長い時間歩き続けていたのではないかと思わせました。

 帰宅後「膝が痛い」と何度か言っていたこともあり、実はマンションの傍にあるガス会社の建物をぐるぐると歩き続けていたのではないか?とも思われました。

 普段使っている杖を持っていなかったし、やはり何かがおかしかったのです。

 今思えば、若い頃のまりぃさんの〝枕木〟を拾っていたのかもしれません。

 「散歩をしようと思った」というのは、まりぃさんの言い訳で…。

 同居する前は、迷子になって帰れなくなったり、解体中の建物に入り込んでしまったことがあったのですが、今回は本当に散歩をしたかったのか、出かけるところから何を思っていたのか…?

対策のあれこれ

 その後にのんさんへ、そのエピソードを報告し、センサーマットをレンタルすることになりました。マットの上を人が踏んで通ると、アラームが鳴って教えてくれるというもので、病院でもベッドサイドに設置して患者様の危険防止に役立てられています。

 ただ我が家で使うには、問題がありました。

 ベッドサイドに置くと、しょっちゅうアラームが鳴ることになるし、ONとOFFの切り替えのタイミングも難しい。

 玄関に設置することを考えて福祉用具専門相談員が来て下さったのですが、設置しようとしたら〝玄関にはコンセントが無かった〟という結果に。

 「延長コードが床を這うことは危険」ということになり、センサーマットは却下されました。

 その変わりに提案されたのが、〝ワイヤレス人感センサー〟。

 電池式で、センサーの前を人が通過した時にアラームが鳴るというものです。

 これを下駄箱脇の足元に設置して、まりぃさんが通過したら音が鳴り、他の家族はまたぐ様に通ればアラームを鳴らさずに通過できる。

 これが採用となりました。

 アラームが鳴る方の機械は、私の寝室へ置きました。

 この機械には何度か夜中も起こしてもらいました。まりぃさんの一人歩き防止にとても役立ちました。

 ただ、これが役立ってくれるのは、スイッチが入っている時と私が家に居る時だけ。

 夕方以降、私が帰宅するまでの間が引き続き危険な時間帯でした。

家に帰りたくなる時間

 玄関には「一人で出かけると迷子になるよ」と書いたメモを貼り付け、まりぃさんの靴は下駄箱脇の目立たないところにしまい込みました。

 ドアの鍵を閉めても中からまりぃさんが開けることができます。

「どうしよう」と思いながら、あの手この手を考えていた頃でした。

 まりぃさんを閉じ込めることは、したくないと思っていました。

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