初めての捜索願い~前編~

母の介護

 ごきげんよう!きいです。

 徘徊シリーズの第2弾は、「初めての捜索願い」です。

 まりぃさんは今までも度々一人で出かけようとしたり、実際に一人で屋外へ出かけてしまったことがあります。

 だけど、今までは自力で発見できていたんです。見失ったことは無かったんです。

 今回はまりぃさんを完全に見失ってしまい、警察へ連絡しようと決心した時の話です。

それはある朝、突然に。

 それは4年程前で、娘が高校生の頃のことでした。部活の試合のために週末にも関わらず、早朝から朝ご飯と娘のお弁当を作った日の事でした。

 娘を送り出したあと、まだまりぃさんが眠っていたので、私ももうひと眠りすることにしました。

ああ…二度寝ができるって、幸せだなぁ…なんていうことも考えていたように思います。

 1時間程時間が経ち、私は目を覚ましました。娘を送り出してほっとしていたし、仕事もお休み。まりぃさんもまだ眠っているみたいだし…。なんてボーっと、まどろんでいました。

 そしてしだいに、その静かな時間に違和感が芽生え始めました。

 「まりぃさん、静かすぎないか…?」

 もうまどろんでいる状況ではなくなってしまいました。

 飛び起きてまりぃさんが眠っている筈のベッドを確認しましたが、まさに〝もぬけの殻〟。

 大急ぎで、自宅内を捜索です。

トイレ…いない!

まさかの風呂場…いない!

台所も…いない!

ベランダも…いない!

子どもの部屋にも…いない!

靴は?ない!

杖は?あるぅ~!

玄関に設置したセンサーは…娘を送り出すときにOFFにしちゃったんだ~!

しまった。娘の荷物が大きかったので、またぐのが大変だろうとセンサーをOFFにして、そのままONにするのを忘れてしまったのです。

うあああ~!どこに行っちゃったの?

大急ぎで外へ出て、エレベーターホールからマンション入り口付近…やっぱりいない!

週末のまだ7時台の時間。人もあまり歩いていないから、まりぃさんがいたら遠目にでも発見しやすいかと思い、自転車に乗ってまりぃさんが歩きそうな場所を探しました。

前回も歩いていたガス会社周りの歩道。

ベランダからよく眺めている郵便局。

近くのコンビニ。

駅に向かう道…。

どこにもまりぃさんの姿はありませんでした。

探した時間は、自宅内も含めると15分くらいだったと思います。

それでも見つからない。

私は自力での捜索をあきらめました。

私がまりぃさんを見た1時間と15分程前は、まだパジャマを着て寝ていたので、まりぃさんが家を出てからは、そんなに時間が経ってはいないはずでした。

まりぃさんの足ではそんなに遠くへ移動できるとは思えません。

杖も家に置いたままです。

だけど…。

「これ以上時間が経ってしまうと、まりぃさんがどんどん遠くへ移動してしまうかも知れない。」

「どこかの建物や店舗の中に入り込んでしまったら、私には見つけられない。」そう思いました。

また「どこかで転んでケガでもして、親切な方に救急車を要請してもらったのかも知れない。」とも考えました。そうなると、もう私一人の力では手に負えません。

「もう警察に相談するしかない。」…そう思った私は自宅へ戻りました。

それなのに、自宅に戻った私が最初にしたことは何だと思いますか?

それは、もう一度自宅内を捜索すること。

まりぃさんが帰ってきているんじゃないかと思って…。

でももちろん、戻っている筈はなくて…。

その時の私の気持ち

 その時の私の気持ちを例えて表現するならば。

「人のあふれる海水浴場で、3歳児とはぐれた母親の気持ち。」

もし、自分は子供がいないからピンとこないな…。と思う方がいたら、こう考えてみて下さい。

「預かっていた上司や先輩のお子さんと、海水浴場ではぐれたときの気持ち。」

完全に見失ってしまった。探しても見つからない。自分から帰ってくる可能性はまず無い。

周囲は危険がいっぱい。

ぞっとしますよ。本当に。

それで私の気持ちは決まりました。「よし!警察署へ電話をしよう!」

電話をした時の状況が、また長くなりそうなので次回へ。

※初めての捜索願い~後編~へつづく…

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