警備員さんが、実は…

介護の現実

 ごきげんよう!きいです。

 兄が入院している緩和病棟へ面会に行くとき。必ず言葉を交わすことになるのが警備員さんです。

日によっていらっしゃる人は違いましたが、通う日数が増えてくると一人ひとり、その人となりがなんとなく伝わってきます。

病院の入り口で

 兄の面会に行くときに、必ず通らなくてはいけない関所があります。

 病院入り口の、警備員さんが常駐する窓口です。

 病院の入り口から入ると、そこで兄がいる病棟名を伝え、非接触性の体温計で体温を測ってもらい、緩和病棟の面会専用の記入用紙に、兄の名前・私の名前・兄との関係・測定した体温・上気道症状の有無・首から掛ける面会者証に書かれたナンバーを書き込みます。

 それを警備員さんへ渡すと、病棟へ電話をかけて、私が兄の面会者として登録されているかどうか、私が病棟へ向かっても良いかどうかを確認。病棟の方が許可を出すと「どうぞ」と通して下さるシステムです。

 いつも複数人(大抵は2~3人)の方がいらっしゃるので、一人の方が電話で病棟スタッフと話し、私の許可が出るのを待っている間も、他の警備員さん同士が交わす言葉、患者さんや面会者との会話が耳に入ってきます。

 私も面会用紙に記入しながら「いや~!今日は冷えますね!風邪をひかないようにしないといけませんなあ!」と話しかけられ「本当に…」と曖昧な笑顔を浮かべます。

 警備員さんの窓口の前は、「密」とまでは言えませんが、案外人がいるのです。

 ベンチには誰かと待ち合わせをしているような方、雨の日には誰かの迎えの車を待っているような様子の方、病院内へ忘れ物を取りに戻った家族を待っている方などなど。

 そんな方々を見守り、安全を守る警備員さん。

 年配の方が多いのですが、皆さんお元気です。

 そして皆さん、声が大きいのはなぜでしょう?

 病棟へ電話をかける声も大きい。

「え~、『えい君』に、妹さんの面会です!『きい』さん。ええ、妹さんです!体温は36度3分!症状はありません!はい!今から上がってもらいます!」

こんな感じで、会話は周りに筒抜けです。

別に知り合いがいるわけじゃないし、住所や電話番号に関わる話でも無い。

だけど、実は「兄と私のフルネームと関係がバレバレじゃん」と毎回思っていました。

 そこにいらっしゃる人は、みんなその病院ががんの専門病院だと知っていると思います。だから、警備員さんの声が耳に入っても、あえて聞かないようにするという対応ができると思います。私自身も他の方のお名前や患者さんとの関係が耳に入ってきても興味を寄せることをしませんでした。

 だけど万が一、「あら、あの方どこかでお見掛けしたことがあるわ…」なんていう方がいて。そこで「え~〇〇さんの奥さんの△△さんが面会です!」なんていうことになったら。

「あら~、やっぱり△△さんだわ。ご主人がこの病院に入院していたのね…」

なんてことになりはしないかと。

 実は私、勝手に妄想して、勝手にヒヤヒヤしていました。

どうかそのようなことになりませんようにと願うばかりです。

本当に悪気の無い、むしろ仕事に一生懸命な警備員さんたちですから。

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