認知症の兆候② ~母の認知症介護が始まった日~

母の介護

 母に見えた認知症の兆候

 その後から私は、実家に行く回数を増やし、実家の台所や冷蔵庫の中などに目を光らせるようになりました。電話を掛ける回数も増やしました。父の面会で会う時のまりぃさんの言動や服装にも注意をはらいました。

「まさか、認知症じゃないよね?」

 年相応の物忘れと、保険屋さんに聞かれた質問に答えられなくてドギマギしちゃったのが重なったからかなぁとも思いました。

最初は「まさか?」でしたが「!」に変わるのに、さほど時間はかかりませんでした。

認知症の兆候はあちこちに見えるようになりました。

その後受診をして、薬を内服しても、治ることはありませんでした。

その認知症の兆候とは…

まりぃさんに見られた認知症の兆候

・同じ話を何度も繰り返す。

 同じ話を繰り返し、「その話、さっきも聞いたよ」と言っても「そうだっけ?」と忘れていました。同じ質問を何度も繰り返し聞いてくることもありました。自分の予定の確認も頻回でした。

 まりぃさんの予定に関する質問や確認が多かったので、書き込みができる大きなカレンダーを持ち込むと、こまごましたことをたくさん書き込んで安心をしていました。しかし、そのうち「カレンダーに予定が書かれている」ということ自体を忘れてしまうようになりました。

・〝自分がどうすれば良いのか〟を確認してくる。

 自分の事を自分で決めることが難しくなることがありました。自治体から届く、文字がいっぱい書かれた文書には目を通さなくなりました。目を通さないことに対して不安は感じているようで、私に解説を求めるようになりました。

 また気になると私の都合を考えずに、すぐに電話を掛けてくるようになりました。真夜中に「電話した?」と聞いてくることもありました。

・市指定のゴミ袋が山のように買ってある。

 自分が買ったものを忘れてしまい、その時気にしているものを繰り返し買ってくるようになりました。なぜかまりぃさんは、一時期市指定ゴミ袋の45リットルサイズを繰り返し買っていました。財布の中に「ゴミ袋は家にたくさんあります」というメモを入れておいてもらうと、購入を減らすことができました。この時に買い込んだゴミ袋は、後の引越しの時におおいに役に立ってくれました。

・冷蔵庫の中身は賞味期限が切れた物が増えている。同じものがいくつもある。

 ゴミ袋と同じで、食材も買ったことを忘れてまた買って…といった具合です。「冷蔵庫の中には認知症の兆候が表れやすい」と言いますが、まりぃさんの場合もそうでした。料理をしなくなり、お惣菜や菓子パン、インスタントラーメンが増えました。

・浴室など水回りが汚れている。

 汚れていることに無頓着になりました。そして「面倒くさい」ということが増えました。次第に片付けもヘタクソになり、掃除もしなくなって、家の中はかなり汚れてしまいました。ゴミもふえました。食べた後の食器が流しに置いたままになっていることもありました。

・道に迷うようになる。

 よく買い物をするスーパーへは行けていたようですが、郵便局や銀行の帰り道で迷い、親切な方に家の近くまで案内してもらうことがあったようです。時々膝や手に擦り傷があり、どこかで転んでいる形跡がありましたが、本人は笑ってごまかしました。

淡い期待と受診への焦り

「ああ、これは認知症に間違いない」と確信したときでも、私の心の中では「ひょっとしたら、別の病気じゃないの?転んだ時に頭をぶつけたんじゃないの?もしかしたら受診して治療することで、治る病気の可能性もあるかも?」といういろいろな可能性、治癒への期待も拭うことができずにいました。

「とにかく早く受診をさせよう」と思うものの、痛みもかゆみも感じていないまりぃさんへ、

「どうやって受診を勧めようか」とばかり考えている頃でした。

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