個人情報保護という壁

介護の現実

 ごきげんよう。きいです。

 昨日は<先生、報告書を読んでください!>で、訪問看護師が毎月「訪問看護計画書」と「訪問看護報告書」を作成し、月に一度、医師やケアマネジャーへ郵送することが法令で定められていることをお伝えしました。

今回はその作業がなかなか大変…。そしてその理由は…?という事について、お伝えしたいと思います。

これも個人情報保護のため

「訪問看護計画書」と「訪問看護報告書」は、主治医と担当ケアマネジャーへ、利用者様に対して展開する看護の目標や展開の具体策、そしてその結果や利用者様の経過を伝えるためのものです。個人情報満載の、医療と介護の連携・情報共有のための大切な書類です。

本人の情報だけではなく、主治医がどこのだれか。その計画はいつ立案したもので、いつ報告したものか。訪問はいつ行われたのか。そのような情報も掲載されます。

大切な大切な情報がいっぱい記載されています。

だから作成する際には、送り先に間違いはないか?日付の記載に間違いはないか?主治医の名前に間違いはないか?封筒に入れる書類に不備はないか?を確認するため、郵送前には必ずダブルチェックを行っています(ステーションによってチェック方法に違いはあるかもしれません)。

この書類のやり取りはもちろん紙ベース。このペーパーレスの時代に。

だけどデーターでやり取りするには、セキュリティーの問題があるのです。

医療のICT化が進んではいますが、病院と病院外の訪問看護ステーションが繋がるにはまだまだ問題があるのです。

個人情報保護という壁

 「個人情報保護のため」というルールは、実は病院によって随分温度差があります。

〝訪問看護指示書を書いてください〟というお願いが、連携室あての電話とFAXで済む病院もあれば、「依頼文と白紙の指示書と返信用封筒を、本人の受診時に持たせてください」という病院もあります。

後者の病院の場合には、訪問看護の開始が遅れてしまうことがあります。スピーディーな対応が求められる場合にはヤキモキするケースです。

また利用者様の検査結果や受診結果を、連携室の担当者から報告を下さる病院もあれば、利用者様の採血の結果すら教えて頂けない病院もあります。

利用者様が採血の結果をプリントアウトされた紙を行方不明にしてしまい、大切な検査結果が把握できないときに、ステーションあてにFAXを送っていただけないかとお願いしても「再度受診してもらい、それに付き添って下さい」と言われてしまうのです。

訪問看護師が、利用者様の病院受診に付き添うということは、職務としては許されていません。そもそも、看護師が血液データを把握するためだけに、わざわざ利用者様に受診して頂くのも申し訳ないことです。

<「家族を人質に取られている」とは???>でご紹介した難病のお母様を介護する息子様の言葉が思い出されます。

この時はデータの把握をあきらめ、利用者様が検査結果を紛失しない方法を検討しました。

速やかじゃない!

 またある時は、主治医へ病状悪化を報告し、内服薬の検討をお願いしていた利用者様の受診結果(内服薬の処方に変更があったかどうか)を伺おうとしたところ、「電話ではお答えできません。知りたければ、受診に付き添って下さい」との返答。

 受診から帰宅した利用者様と連絡が取れたのは夕方遅く。新しく処方された内服薬の確認とお薬カレンダーへのセットのために、夜になってご自宅に訪問することになってしまいました。

 「個人情報の保護」のために、速やかな対応ができなくなること。実は沢山あるのです。

そういう病院のサイトを見ると「他の医療施設や地域と連携して、より良い医療の実現を目指します」って書かれていたりするのですが…。

地域医療連携室の役割も、病院によって違うことが多々あるのです。

それが統一できて、受診結果や検査結果が共有できたりするととてもありがたいのですが…。

それが訪問看護師ではなく、他院や訪問診療の医師からの問い合わせでも同じ返事なのでしょうか…?

ちょっと気になります。

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