見なきゃ良かった

介護の現実

 ごきげんよう。きいです。

 兄の部屋から私の家へ運び込んだたくさんの書類。ものすごい量です。それに目を通し、これからの手続きに必要な物なのかそうではないのか。何か解決しなくてはいけない問題が残っているのか、いないのか。確認をしては、不要なものはどんどん破棄していきます。

 そんな書類の中から発見したもの。そして、目を通してしまって後悔したもの。

 それは何だったのでしょう。

書類の山

 兄の書類のうち、在職中の給料明細や傷病手当の関係書類、退職時の手続きに関するもの等は、解決しなくてはいけない問題はありませんでした。

 全て兄が手続きしてあり、過去のものとなっていました。

 それよりも多量だったのが、治療と検査に関する書類。

 おそらく兄は自分の治療に関するものを、すべて保管していたようです。

 兄が今まで自分の病気のために、いったいいくらの医療費を払ってきたのか。

 おそらく驚くような金額になるだろうと推察しました。

 でも、計算してその金額を明らかにする気はありません。そんな気も無くなるほど、医療費の明細書は膨大な量でした。

医療費の明細書。検査の説明書と同意書。採血のデータ。治療研究に協力する同意書。

それを整理していると、その下から健康診断の結果が出てきました。

 健康診断の結果も、何年分も残っていました。

 転勤を何度もしていたので、東京で受けた検査結果や大阪で受けた検査結果、初めて見る病院名や検査センターの名前もありました。

へえ…と何気なくパラパラと見ていました。

そして、ある年の検査結果から「便潜血+」の文字が。

〝精密検査を要する〟と書かれています。

兄が直腸がんの診断を受ける数年前です。

ちゃんと健康診断を受けていたのに。

ちゃんと検査しなさいって書いてあるのに。

なぜ、兄は検査をしなかったんだろう。

見つけるチャンスはあったのに

そしてもっと過去に遡っていって「ああ、そういうことだったのか…」と思ったことが。

「便潜血+」のさらに数年前から「慢性胃炎」の文字が。

そこでは兄はちゃんと受診をしていたのです。

「便潜血+」の年も、「慢性胃炎」の治療は受けているんです。

直腸の病変が胃の疾患に紛れてしまったんだ…きっと。

悔しいなあ。

なんだか、切なくなっちゃった。

うっかり検査結果を見ちゃったけど。

見なきゃ良かった。

慢性胃炎のバカ。

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