ごきげんよう!きいです。
まりぃさんの一人歩き予防策の数々。靴をしまい込んだり、下駄箱に鈴をつけたり。センサーやメモに書いたメッセージ…。本当にいろいろ試みてきました。
それでもまりぃさんは乗り越えて行く…。いよいよ安全を守るために「まりぃさんが出られないような、何か手段を講じてほしい」と言われるまでになってしまいました。
ベビーゲートを設置
それまでは、災害時に避難の妨げになる事も心配だったので、取り付けるのに抵抗があったベビーゲートを付けることになりました。
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開けるためには、柵の上部の鍵をスライドさせ、さらに上方へ引き上げないと開かないというもので、「これなら安心」と私も、のんさんも、デイサービスのスタッフさんもみんなが思いました。
だけどある日、まりぃさんは私の目の前でゲートを開けて見せたのです。まりぃさんが感覚的に体で覚えている「鍵を開ける」という行動。
「家に帰らないといけないから鍵を開ける。そして家に向かう。」
その思いを実行に移そうとするまりぃさん。
開くことができるのならばそれを阻止するものを…ということで、考えた私は自転車の鍵を付けてベビーゲートの扉が少ししか開かないようにしてしまいました。
それでもまりぃさんは、そのわずかしか開かないベビーゲートをすり抜けて出てしまったのです。まさか…とみんなが思いました。
自転車の鍵を下に落とした状態で、それをぎゅっと引っ張りながら、またいでお腹を引っ込めて…。そうしたら、通れちゃった。
(次回ご紹介する<この人、徘徊老人なんです。>のエピソードへ続きます。)
それに対しては、まりぃさんがすり抜ける時に手をつく場所、下駄箱から離れた場所へベビーゲートを移動させ、自転車の鍵もゆとり無くピンと張って取り付けることで、まりぃさんは一人で出かけることができなくなりました。
だけど、そこにたどり着くまでには、デイサービスの送迎の担当者さんの協力なくしてはできない事でした。何番目の柵と何番目の柵に鍵を掛ける、という細かな決め事を誠実に再現してくださっています。
まりぃさんの一人歩きはできなくなり、安全は守られ、人に迷惑をかけることも無くなるでしょう。
いったい何をやっているんだろう
だけど、私は思いました。
まりぃさんの安全は守られるけれど…。
「私は、いったい何をやっているんだろう。」
まりぃさんがずっと抱き続けている「家に帰りたい」という思い。
悲しいことだけど、実現できないけれど。何とかできないのかなぁ。
私はまりぃさんを家から出ないようにすることばかり…。
あれがダメなら、この手はどうだ?その繰り返し。
ベビーゲートが檻に思えてくる。
本当は、いろいろな本に書いてあるように「一緒に歩いてあげましょう」とか「本人の気持ちを、帰って何をしたいのかを聞いてあげましょう」という対応ができていないのはわかっています。
私が仕事を続けているから…。
ああ、また介護離職の誘惑に飲み込まれそうになってしまいます。
私は上手に介護ができていないんです…とか、思い始めちゃう。
認知症にならないように、まりぃさんもちゃんとしておけば良かったのに、とか言いたくなっちゃう。
まりぃさんを疎ましく思ったり、向き合いたいと思ったり。
本当に、人の気持ちって不安定。
ちょっとしたことでふわふわ、ぐるぐる。
ぐるぐる、ぐるぐる 。ぐるぐる、ぐるぐる…。