まりぃさんに影響を与えるもの~水分不足編~

介護の現実

ごきげんよう!きいです。

 今回は、まりぃさんに影響を与えるもの~気圧の変化編~のつづきです。前回はタイトル通り、気圧の変化について思うところを書かせていただきました。お次は〝水分不足〟についてです。気圧の変化にとは違って、自分で何とかできること、予防できることでもあります。睡眠時間を確保するため、日ごろからの水分不足を予防しましょう。今夜も平和でゆっくり眠れますように。

2・水分不足

 「高齢者は、どうして水分を摂りたがらないんでしょうねぇ…。」

 季節を問わず、あちこちで良く相談されることです。高齢のご家族を介護されている方々は、どうやったら水分摂取量を確保できるのかと、日々大変なご苦労をされていることがあります。

 本当に健康を維持するために水分は大事なんです。

 わかっちゃいるんですよ。〝高齢の方は喉の渇きを感じる機能が落ちてしまうため、身体は水分が必要な状態でも、喉が渇いた=水分を摂りたいという自覚が乏しくなる〟って。わかっていてもぼやきたくなるくらい、水分が不足している方が本当に多いんです。なので、訪問看護の仕事上でも「しっかり水分を摂りましょう。」とあちこちで言ってまわっているのです。

 もちろんまりぃさんも、水分を飲みたがりません。高齢である上、認知症もあるので飲んでもらうのにひと手間も二手間も必要になります。特に夏は熱中症の危険もあるし、日常的にも尿路感染や便秘の予防のためにしっかり水分を摂って欲しいのですが…。 

「トイレが近くなるから…。」

「さっきも飲んだばかりじゃないの…。」

「お腹がドブンドブンいうわ…。」 

などと言っては、お茶をすすめてもなかなか口を付けようとしません。

 飲め・飲まない論争を繰り返しながら、何とか日中の時間に500㏄位は飲んでもらうように働きかけています。さらに朝食と夕食の時には必ず、お気に入りのマグカップ(200㏄)にお茶を1杯以上飲んでもらうようにしています。

水分摂取量が少ないと…

 そして「今日は水分を摂った量が少ないぞ」と感じる時(それは尿臭がきつい事でも察しがつきます)によくあるのは…。

 夜中、寝ていると思ったら急に「ハイ!!」と大きな声で返事をしてすごい勢いでベッドから飛び出すまりぃさん。

 玄関に向かってすごい勢いでスタスタスタ…と一目散です。

 何が起きたのかと最初はビックリしましたが、どうも誰かが呼ぶ声が聞こえるらしいのです。それは「まりぃ!」と呼ぶ亡き夫の声のこともあれば、「姉ちゃん!」という弟たちの声のことも。

 いわゆる幻聴ですね。

「あれえ?呼ばれたんだけどなぁ?」と素直にベッドに戻る日もあれば、そこに気圧変化など他の要因が重なると、「呼ばれたんだから、私は行かなくてはいけないのよ!」とばかりに反論!

 制止するのに苦労するようになってきます。

 こうなると、再び眠りに着くまでに時間がかかってしまい、大変です。

この時も、お茶とお菓子等をお勧めすることになるのです。

まりぃさんはなぜ飲まないのか?

 まりぃさんは自分でも言っていたように、トイレの回数が増えることを嫌がります。

 実際は尿とりパッドのお世話になっているのですが、気分的に「トイレに行かないといけないことが面倒くさい」と思っているようです。

 でも、それがなまけ心なのかと言えば、そうとも言い切れなくて…。

 まりぃさんは両膝が悪く、歩き出しに時間がかかります。痛みもあります。

 80歳を超えた身体は筋力が落ちて、私が思う以上に起き上がる事、立ち上がる事、歩行することが大変なのでしょう。

 だから「トイレに行く回数を減らすために、水を飲まない」と考えてしまうんですね。

 でも、ここは譲れませんから!しっかり飲んでもらいますし、しっかりトイレへ歩いてもらいます。

 私、時々母に言うんです。

「私は、お母さんの代わりにおしっこをしてあげられないから、ちゃんと自分でトイレに行って。」って…

なんか変ですよね。

 

 そしてその他に、認知症ならではの理由がありました。

 目の前にあるお茶が〝自分のものかどうかが分からくなってしまう〟ということ。

 もう何年も使っているまりぃさんのマグカップ。それにお茶が注がれて目の前にある…。それを飲むように声を掛けると「これ、私が飲んで良いの?」と聞いてきました。

 認知症が進んでいるなぁ…。と感じたエピソードでもあるのですけれど。

 なるほど、自分のものではないかも知れない物に、手を付けるわけにはいかないのですね。

 お昼のお弁当と一緒にお茶を置いておくのですが、これが自分のお茶だと分かってもらうためにどうしたら良いか?を考えて、こうしました。

 透明の中身が見えるボトル。その蓋に名前を貼り付けてみました。

 その結果、中身が見えない水筒やペットボトルのまま置いておくよりは、飲んでもらえるようになりました。

 その他に〝飲み物の温度がお気に召さない〟ということもありました。

 常温のお茶を用意することが多いのですが、時には急須で入れた温かいお茶が喜ばれることもあります。

 まりぃさんは〝ひと手間〟をかけたものを喜びます。急須で入れたお茶、頂き物の紅茶やコーヒー、かわいいお皿にのったお菓子など…。

 夜のお茶とお菓子は、私の心のありようで内容に変化がありますが、この時のお茶は温かいものの方が気分転換の効果が高いように感じます。

 手にした瞬間に「あら、温かいわ」と情報が伝わることも、別の意味で〝ひと手間〟なのでしょうね。

※次回、まりぃさんに影響を与えるもの~空腹編~につづく

タイトルとURLをコピーしました