「8050問題・9060問題」について

介護の現実

 皆さんも「8050問題」という言葉を聞いたことがあるのではないかと思います。

 ひきこもりと言う社会問題は、元々若者特有の社会問題と言われていました。
しかし今では、若者よりもむしろ中年層の方が数が多く、内閣府の調査では40歳~64歳の中高年層が61万人以上で全年代の中でも最多であるといわれています。

 現在では、親子共々が高齢化してしまった状態が、ひきこもりの新たな社会問題となっており、80代の高齢者が中高年層の50代子供の生活を年金で支える状況が『8050(ハチマルゴーマル)問題』と言われています。

 ひきこもり続けている中高年の子供には社会人経験が無かったり、上手くいかなかった挫折の経験を持つ事が多く、殆ど収入が無く生活の全てを親に依存する結果となります。親の年金だけで子供を養う場合、経済的に困窮し生活水準が保てないという問題も発生してきます。

 そしてそのまま時間が経つと、起きてくるのは「親の病気や介護」という問題です。
『8050問題』が、さらに高齢化が進むことで『9060問題』となりつつあるのです。

『8050問題』では、主に経済的な負担や生活の困窮などでしたが、高齢化が進むと親の介護が必要となるケースや親が亡くなり支えとなる収入源などが全く無くなる問題となります。

 「ひきこもりを続けている人が、病気になり介護が必要になった親の面倒をみることができるか?」
とても難しい問題です。
元々の親子関係に問題があったり、子供自身が依存的であったり発達障害や精神疾患を持つこともあります。
ひきこもりの子供は他人が自分の家に入ってくるのを嫌がる事が多く、親が依頼した介護サービスの職員を追い返してしまったり、拒否的・暴力的な行動をとることもあります。
そんな子供を残して逝けないと、無理心中を図る親子もあるのです。

 また子供が弱った親をそのまま放置した結果、ネグレクト状態に。親は適切な医療や介護を受けることができず衰弱死するケースもあるのです。

そして、死亡した親の死亡届を出さず?出せず?出すことの必要性が分からず?に年金などを受け取り続けたひきこもりの中高年の話も耳にします。

子供の出生率は低下、中高年はひきこもりの人が増加。
労働人口の低下はますます進むことが懸念されています。
そして高齢者は増え、医療と介護業界も労働人口低下…。

これは今の日本の話。
今、私達の目に触れることが無くても実際に起きている話です。

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