ごきげんよう!きいです。
前々回<噂がささやかれる現場>で、スーパーの食料品売り場で医療関係者についての、ビックリするような噂話を聞いたお話をご紹介しました。
また、その前には<家族を人質に取られているとは???>で、ご自宅を訪れた訪問看護師に、病院で勤務する医療職に対する苦言?苦情?いや、怒りそのものを表出した皆さん。
病院時代には、そんなことが病院外で起こっているなんて、考えたこともなかった。
入院中の患者様やそのご家族が、そんな思いを抱えながら入院されていたなんて…。
私が迷走していた頃の話
私の看護師としての人生は、あまり真っすぐなものではありませんでした。
迷走の挙句、看護師を辞める決心をして、別の資格を取り転職をしていた時期もありました。
その仕事がサービス業だったもので、看護師としてはできなかったことをたくさん経験しました。マナーや所作、人を大切におもてなしするノウハウ、看護の分野以外の知識などを学びました。
その経験は、今の訪問看護の仕事にも大いに役立っていて、その頃の自分の迷走は全く無駄ではなかったと思います。
特に勉強になったのは「自分の行いでお金を頂くことの難しさとありがたさ」を知ったことです。
別職時代は、研修中は、交通費は出ない。給料も出ない。
学ぶために万単位のお金を払わなくてはいけませんでした。
ブラック…と言えば…。そうかもしれませんが、その業界は、どこもその様な状況で。
独り立ちしてからも、〝自分が認められなければ収入無し〟という超ハードな世界でした。
それでも私は、看護師では体験できない世界に刺激を受け、自分が認められていくと大きな喜びを実感することができました。
その数年間を経験した後、父の大きめの病気をきっかけに地元で独立開業もして。
だから人に頭を下げてお仕事を頂くこと、自分が使う物の金銭的価値を実感し、大切に扱うこと。お客様は神様です…の気持ち。そして口コミの効果と怖さ。
ヒリヒリとした感覚の毎日でした。
看護師時代には交通費も支給され、研修は参加費程度。学んでいる時期もきちんとお給料を頂くことができていました。コピーを失敗しても自分が損失を被るわけではないし、衛生材料や物品を自分が選別して発注して管理するわけでもない。
夜勤のある交替勤務で、3Kだの8Kだのと言われた(最近は言わない?)激務で人間関係のストレスもあるけれど…。
お金を頂けているありがたさは今よりも希薄で、患者さんの一挙手一投足に注意を払わなくても仕事を失うことは無かった。自分の任務を遂行するだけで時間があっという間に過ぎて行った。
だけど今は、迷走時代の学びと、訪問看護と、自分が両親を介護した経験があって…。
入院している患者様のご家族が、面会に来て何を思っているのか?面会できなくてどう思っているのか?この患者様は退院したら、誰がどんなふうに看て行くんだろう?どんなふうに家族は生活をしていくんだろう?
…それを「分かる!」とは言えないけれど、それに心を配ることができるようにはなったと思う…。
<家族を人質に取られているとは???>に出て来た医療関係の職員さんたちへ。
「“介護の大変さ”を知って下さい!」という声が聞こえてきそうですよ。
学ぶ機会
今はこんな時期だから、看護学生さんたちは実習で〝在宅看護〟を学ぶ時間が短くなっていると思います。それはとても残念なことで…。
もし病院へ就職してからも、いつか看護協会主催の出向事業が復活するかもしれませんから、チャンスがあったら是非エントリーしてください。
これはいわゆる病院勤務の看護師が、訪問看護ステーションで一定期間勤務し、在宅看護の体験を通して学び、病院へ戻ったらそれを病院勤務の看護師たちへフィードバックするもの。
一定期間とは言うものの月単位なので、名刺を自分で印刷するとか、コピーのミスがどれほど胸を痛めるか…とか、野戦病院みたいな状況のご家庭で、いかに清潔を目指した看護のケアを行うかとか…。病院ではできない体験が沢山出来ると思います。
在宅看護の経験で、どんな思いでご家族が介護をしているのか?自分の言動、行動が原因で契約を切られてしまうこともあるという現実を学ぶのも、後の看護人生に大きな影響を及ぼすと思うのですが…。
いかがでしょうか?