まりぃさんがいない家

介護の現実

 ごきげんよう。きいです。

まりぃさんを施設Aへ残し、帰宅途中の私。

「これでしばらくはぐっすり眠れる」「自分に向き合えるのって、何年振り?」なんて考えるのですが、なぜだか心は晴々としない。足取りも重くって…。

だってまりぃさんを残して、一人で家に向かっているのですもの。

「今日は何もしない‼」

 幸いなことに、えい君の体調は落ち着いていて、買い物の約束も明日にしました。

「今日はまりぃさんの入所に付き添うから。何かあったら連絡して」

「わかりました」…というやりとりをしていました。

食べ物も買い足してあるし、連絡が来なければ今日は何もしない日にしよう。

そんな日があってもいいんじゃない?と自分に言い聞かせて。

 帰り道、駅の傍のショッピングモールに寄って、子供たちの分も合わせて海鮮丼を買いました。

 まりぃさんはカニやエビなどの甲殻類のアレルギーがあります。うっかり食べちゃうと蕁麻疹が出てしまうので、まりぃさんのいる時には目の前で食べることもなんとなく避けていました。

 でもこれからしばらくは、そんなことは気にしない!

海鮮丼だって、お寿司だって、気にせず食べるんだから。

 しばらくはまりぃさん用のおやつも買わなくて良いし。

お弁当も作らなくても良いし。

オムツや尿とりパッドも買わなくても良いし。

夜中に起こされることも無くなるし。

いつものモーニングルーティーンに付き合わなくても良いし。

大急ぎで帰宅しなくても良いし。

 そんなことを考えながら、帰り道を歩きます。

今だけかもしれない

 帰ったら、荷物を整理して。

 持って帰ってきたまりぃさんの洋服を、午後なのに洗濯しちゃって。

あれぇ。何もしないはずだったのに、洗濯しちゃってるし…。

洗い終わったら、干さなきゃだし。

この時間だから、もうちょっとしたら部屋に入れないといけないなぁなんて。

 何やっているんだろう、私。

えい君が落ち着いていたら、時間を持て余すのかも知れないな。

久し振りに、ミステリーを読もうか?それともYouTubeを見ちゃおうかな?

 そんな時間もしっかり味わおう。

えい君の介護のために、頂いた時間。えい君が落ち着かなくなったら、こんなことできなくなっちゃうし。

 こんな時間が持てるのは、今だけかもしれない。

 そして、夜。

あまりに静かすぎて…。

まりぃさんの空っぽのベッドを眺めながら「寂しいな」と認めてしまった私でした。

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