お母さん、ごめんなさい。

母の介護

ごきげんよう。きいです。
 スマホの機種変更という目的を達成し、帰宅してから必要だったいくつかの設定を済ませ、ようやくホッとした私。
 そういえば…とバックから一通の封筒を取り出しました。
それは、特養Nから返却された「まりぃさんのがん検診の結果」です。
老健Kに入所中に受けた市のがん検診。その結果。
郵送されるのがまりぃさんの移動の時期にかぶるため、特養Nへ直接届くようにして下さっていたものです。
その結果は「大腸がん検診以外は異常なし」でした。

大腸がん検診の結果は…?
「不明」

 だって、まりぃさん。老健Kのスタッフさんが「何とか検体を採取しなくては!」とトイレについてくることに怒りだしちゃって、逃げるようになって…。
そして便秘になっちゃった。

 検体が採れないのです。

 困ったスタッフさんからケアマネNさんへ相談。そしてNさんから私へ相談。
「どうしましょう…。大腸がん検診…。ご希望されますか?されますよね…」
とても申し訳なさそうに電話がかかって来た事を思い出します。
私は「本人がそんなに嫌がるのなら、仕方がないです」と返事しました。
それが原因でがんの発見が遅れたとしても…私はきっと後悔はしないと思う。
ちゃんと「仕方がなかった」と思えます。
大丈夫。

 他の検査の結果は全て「精密検査不要」。
ちょっと貧血気味で、ちょっぴり血糖値が正常値を超えていたけれど。
ちょっとだけ胸部の血管が蛇行していて、動脈硬化もあるらしいけれど、そこは86歳。
「年相応のお身体」のようです。

その検査結果を見ながら私は、ある事を思い出しました。

「なんでお兄ちゃんが癌なんだろう。なんでまりぃさんじゃないんだろう。」

 兄にステージⅣの癌が見つかり、死を意識した時。
まりぃさんの介護に疲れ、いつまでこれが続くんだろうと思っていた頃。
私は「自分の母親が癌で余命がわずかだったらいいのに」
そう考えました。

 だけど今は「精密検査不要」で良かったと素直に思えます。
まりぃさんにお友達ができたという事が嬉しくてウキウキしました。
何とか普通の感情を取り戻せているようです。

「お母さん、ごめんなさい」
いつか直接言えるかしら。
この言葉。もう何十年も言っていない気がする。
今は月に1回の面会とヒアリング。周囲に人がいてアクリル板を挟んでの面会しかできない…。

 しまった!施設移動の時、一緒にいられた時間に言っておけば良かった!

タイトルとURLをコピーしました